小さな植林隊





雑記 平成23年(2011年)1月28日(金)






青森県六ヶ所村視察(再処理工場等)その4


こちらは低レベル放射性廃棄物が入るドラム缶の展示です。(中は入っていません)

低レベル放射性廃棄物は、作業着、手袋、紙などは焼却され、金属類は圧縮・溶融、
洗濯水や床などを洗った水などは、蒸発・濃縮して、減量してからドラム缶へ入れられ、
セメントを入れて固形化します。

ドラム缶は鉄筋コンクリート内で横に積み上げられ、ベントナイト、土を被せて埋め立てられます。

液体状のものは煮詰めて水分を除き、燃えるものは焼却して容量を減らした後、
プラスチックやセメントなどでドラム缶に固形化します。(1号埋設設備対象廃棄体)

また、固体状の廃棄物は切断・圧縮・溶融などの処理を行い、
セメント系充填材(モルタル)でドラム缶に一体となるよう固形化します。
(2号埋設設備対象廃棄体)

1号埋設設備は、合計40基で構成されます。また、1基は16に区画され、
1区画あたり、320本のドラム缶廃棄体が収納できます。(合計204800本)

2号埋設設備は、合計16基で構成されます。また、1基は36に区画され、
1区画あたり、360本のドラム缶廃棄体が収納できます。(合計207360本)

現在は1号、2号をあわせた分の埋設許可は国から承認されていますが、
将来は足りなくなるので、その為の土地は確保しているそうです。
(300万本、50〜100年分くらい)

場所を確保してあるのは大切なことかもしれませんが、
原発から出る電気のごみの処分の為に、広大な敷地を必要とし森林伐採が行われます。
電気を大量に使うということは地球温暖化だけでなく、森林伐採、
そこに住む動植物の生態系破壊、廃棄物問題など
色々な面で環境を破壊していることにつながります。

再処理後の廃液の流れです。高レベル放射性廃棄物はガラス固化へ、低レベル放射性廃棄物は蒸発させ
残留物も含め、どろどろになったものを固化、そして蒸発した水分は海へ放出されます。

再処理後の空気の流れです。フィルターを通して空へ放出されます。

海、空へ放出されたものは呼吸、食べ物を通して、体内に取り込まれます。


体内から放射線を浴びることを内部被曝といいます。
内部被曝は、呼吸や食物などを通して、体内に取り込んだ放射性物質が
体の内側から放射線を発し、被曝してしまうことをいいます。
放射線は染色体、DNAを破壊し、細胞を異常な状態にします。

内部被曝は遠く離れた人も影響が出る可能性があるものです。
青森、岩手、その周辺には、様々な農作物、魚介類が存在し、
私たちはその恩恵を受けていますが、
それらを通して放射能を体内に取り込んでしまいます。


また自然界にばら撒かれた放射性物質は、食物連鎖を通して、その濃度が非常に濃くなる
生物濃縮(生態濃縮)という現象がおこります。
その濃度は数十万倍、数百万倍にもなります。

農薬のDDTや、水俣病での有機水銀が、生物濃縮によって濃縮され、高濃度のものが
人を含めた様々な生き物の体内に取り込まれました。

放射性物質を空や海にばら撒いて拡散しても、
排気塔や排水管から放射性物質を出し続ければ、
自然界に存在する絶対量が、時間の経過と共に増えていくのは当然のことです。

さらにそれが生物濃縮で濃くなり、食物連鎖の頂点に位置する人間には、
水俣病の時などと同じく、非常に高濃度のものが体内に取り込まれることになります。



内部被曝については、以前に内容を記載しましたので、ご覧ください。

内部被曝について



放射能の測定を行っている地点です。

施設の方の説明では、放射能は空気や海へ拡散させ、
その量は国が定めた基準値以内だから安全と言うことを訴えていますが、
一方で、放射能を危惧する側からは以下の様な情報があります。

六ヶ所村再処理工場汚染マップ

食物汚染の危険性


かつて水俣病の問題の時に、地元の人達の中には風評被害を恐れて、
事実が明らかになることに抵抗をする人もいました。

病気になったのに、病院へ行かせてもらえず、逆に家族が病人を家の中に閉じ込めて、
人に見せないようにする、あるいは病院へ行ったものを村八分にするなど
悲しい事実がありました。

当時、有機水銀を垂れ流した会社のチッソは、すでに実験で
有機水銀が原因であることがわかっていたのに隠し続け、うその情報を流しました。

国は原因が特定できないからと、手を打たずにいたため、被害が拡大していきました。


放射性物質は、色も、においも、形もなく、人間にはどこにどれだけの量が漂っているのか、
全くわかりません。

放射能汚染の風評被害が心配と言う声もありますが、
風評被害より実害の方がもっと恐ろしいものです。


被害が本格的に拡大してからでは、それこそ、風評被害どころではなくなります。


イギリスのセラフィードにある再処理工場の周辺は白血病やがんが、
他の地域より10倍〜15倍になっています。

イラク戦争で劣化ウラン弾(放射性廃棄物)を打ち込まれた周辺地域は、
白血病、奇形児が急激に増えました。


八ッ場ダムの建設を、データを改ざんしてまで進行しようとしてきたり、
利用客が見込めないにもかかわらず、空港をたくさん建設してきたり、
必要のない道路を無駄に作ってきたりと、
これまでの国の行政を見ていると、まず建設ありきで、それの証拠となるデータを
後づけでつじつま合わせしていると、強く感じます。

原子力発電についてもまず推進ありきになっているのではないでしょうか?

放射能は、人間が扱ったり管理するものではないと思います。
その影響力は、半永久であり、将来世代に対して、永遠に、強制的に
負担をかけることになります。


原発の利点として原発推進側は、
発電時に二酸化炭素を排出しないとか、
エネルギー自給率をあげるためだとか、
少しの燃料でたくさん発電できるとか、
経済的に安く済むとか、
安全対策は万全で放射性物質が漏れる事はないとか、
色々な理由をつけて推進してきましたが、
それらは全体からすると一面しか見ておらず、また適切な表現とも言えません。


逆に原発の負の面の例えを挙げると、

・ウランの採掘、輸送、加工、廃棄の為に多くのエネルギーが必要になります。

・ウランは無限にあるわけではなく、採掘可能年数は80年〜100年程度。

・少しの燃料で発電できても、高レベル、低レベルの大量の廃棄物がでます。

・ウランを採掘する際に出てしまうウラン残土も大量に発生します。
 永遠に厳重に管理しなければならず、再処理、埋設などまで考えると
 莫大な費用がかかり続けます。

・原発は、海水温よりも7度も高い温排水を、毎秒70トン(一級河川並み)に放出し、
 海の生態系を破壊しています。

・事故があったときに、労働被曝で犠牲になる人が必ず発生します。

・原発の耐用年数が過ぎた後は、その場所は土砂で埋まったダムと同じ、
 巨大なごみとなります。

・チェルノブイリの様な事故があったら、その周辺一帯が人が住めない場所になります。


他にもたくさんあります。


一方、ドイツは緑の党が中心となって、脱原発政策を掲げました。
原発に頼るのではなく、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを推進することを
政策として選択し、日本をあっという間に追い越していきました。

ドイツは2020年までに総発電量に占める3割を、再生可能エネルギーにしようと
目標を掲げ、それを後押しする政策を色々作ってきました。
(その後、ドイツは2022年に全ての原発利用を停止すると表明しました。素晴らしい!)

なぜ、日本もそちらへ向かわないのか、不思議で仕方ありません。
太陽や風はそれこそ、永久といっていいエネルギーでしょう。

日本は資源が少なく、その資源獲得の為にたくさんのお金を海外に払っています。
石油代、石炭代、天然ガス代、ウラン代、全て国民の税金で買っています。

それらが太陽光、風力に変われば、一切必要なくなります。
その浮いた分のお金を福祉に使うなり、借金返済に使うなり、
さらなる自然エネルギー普及に使うなり、色々新しい活用ができてきます。


日本はこのまま原子力に頼る方向でいいのでしょうか?


さらに、この再処理工場がある下北半島には、米軍の三沢基地もあります。
羽田、成田につぐ発着率です。ただし、戦闘機ですが。

そのことで危険はないのかをPRセンターの方に尋ねたところ、
六ヶ所村の原子燃料サイクル施設の上空は飛行禁止になっているので
大丈夫というような事を言っていました。

しかし、沖縄で学校の側へ戦闘機が墜落した事例を考えると、
堕ちる時は、飛行禁止区域だろうがなんだろうが、場所など選ばずに堕ちる、
というのが実際だと思います。

そう考えると、大量の放射性物質を管理する地域の近くで、
米軍の戦闘機が頻繁に飛んでいるというのは安全上、大変問題があると思います。




その5へ続く






戻 る





TOP