小さな植林隊





雑記 2010年2月13日(土)






六ヶ所村再処理工場 勉強会


2月13日に民主党の議員さん達に六ヶ所村再処理工場の危険性を伝えてきました。
大宮の方で環境保全を行っている団体と生活クラブ生協の方々と一緒に行いました。

六ヶ所村再処理工場は青森県の六ヶ所村にあります。
何が危険かというと、再処理工場が本格稼動すると
通常の原子力発電所から出る放射性物質の1年分の量が、
なんと1日で放出されてしまいます。

再処理工場では、原子力発電所から出た使用済み核燃料を、
放射性物質が飛び散らないように被覆してある金属カートリッジごとせん断して、
硝酸をかけてどろどろにした後、ウランとプルトニウムを取り出します。
この工程で回収しきれない放射性物質を空と海に撒き散らします。
放射性物質の危険を順を追って説明します。



1、外部被曝と内部被曝

放射性物質は放射線を出します。
その放射線を浴びることを被曝(ひばく)といいますが、例えば、
広島や長崎に落とされた原子爆弾など、外部から放射線を浴びることを外部被曝といいます。

それに対して、呼吸や、食べ物、水を通して体内に放射性物質を取り入れて、
体の内側から放射線を浴びてしまうことを内部被曝といいます。
再処理工場稼動による被曝の懸念は内部被曝です。



2、「放射性廃棄物は希釈されるから安全」は真実か

原子力発電所や再処理工場を推進する側は、放射性廃棄物は希釈される
という主張をしています。
高レベル放射性廃棄物は液体と気体として、自然界に放出されますが、
液体としては沖合い3km、深さ50mにある排水管から海へ放出されます。

海に放出すると希釈されるから安全、というのは誤った認識で、
参考資料1のように、太平洋側には親潮というのがあり、
また、津軽暖流というのが陸に沿って流れているので、海流は太平洋沖に拡散せず、
南下して三陸方面へ流れていきます。


参考資料1、六ヶ所村再処理工場からの放射能汚染
海流に乗って三陸海岸が汚染される
美浜の会パンフレットよりhttp://www.jca.apc.org/mihama/pamphlet/leaf_sanriku.pdf

以前、あるところが六ヶ所村から葉書を海に流すという実験をした結果によると、
一番多く届いたところは茨城県の大洗海岸でした。
ですので、三陸沖にはおいしい海産物がたくさんありますが、
海流に沿って放射能汚染されてしまいます。

日本より先に稼動しているイギリスの再処理工場セラフィールドの場合ですと、
参考資料2の様に、工場から排出されたプルトニウムが遠く北極海で確認されています。
イギリスと同じ縮尺の地図を見ると、日本全体に汚染が回ることが想定されます。


参考資料2、イギリスの再処理工場による汚染地図
(左)黒い点がプルトニウムが確認されたところ。赤い点が再処理工場
(右)同じ縮尺で北欧と日本を比較すると日本全体が汚染の可能性がある

http://www.jca.apc.org/mihama/reprocess/hibaku022msv.pdf より

プルトニウムというのはとても毒性の強いもので角砂糖1個で
2000万人の致死量に相当します。角砂糖6個分を日本のみんなに均等に渡せば、
みんな死ぬことができるというものです。


また、気体として150mの高さの煙突から大気へ放出すると、
このあたりはやませという北風が吹いているところで、
六ヶ所村の再処理工場から排出されると岩手県の方に飛んでいきます。

再処理工場から排出される放射性物質は、
普通の原子力発電所で排出される1年分が1日で放出されるため、
六ヶ所村には、365基の原子力発電所があるのと同じことになります。



3、希釈されたものが再び集積する「生物濃縮」

さらに汚染物質は参考資料3の様に、食物連鎖を通していくなかで
どんどん蓄積していく「生物濃縮(生体濃縮)」というのがあります。
生物濃縮によって、自然界に存在している状態よりも
はるかに高い濃度に濃縮され、最終的に人の体内に入ってきます。

生物濃縮は放射性物質だけでなく、他の汚染物質でも起こる事がわかっています。

参考資料3、放射能は生体濃縮(生物濃縮)する

例えば放射性物質を自然界に流したとします。
微生物たちはそれを栄養と勘違いをして体内に取り込みます。仮に1取り込んだとします。
それら微生物たちを小魚が食べると放射性物質は濃縮されます。仮に10とします。
それら小魚たちをより大きな魚が食べると同じ様に濃縮されます。仮に100とします。
さらにそういった魚をより大きな魚が食べて濃縮されます。仮に1000とします。
この様に食物連鎖の過程で放射性物質は最終的には
何十万〜何百万倍と濃縮されていきます。


ちなみに海洋生態系の最高次生物であるクジラ類への生物濃縮はとくに深刻な場合があり、
北太平洋西部での調査ではスジイルカに残留するDDT及びPCB(ダイオキシン)の濃度が
海水と比べてそれぞれ3700万倍・1300万倍も濃縮されていることが示されました。
(中田晴彦 『第9章 海洋汚染と鯨類 村山司(編者)「鯨類学」』東海大学出版会、
2008年5月20日。ISBN 978-4-486-01733-2)

参考 ダイオキシンの危険性
https://hachisoku.org/pubfiles/dioxins.pdf



4、放射線の被害は距離の二乗に反比例

放射能の影響は、離れれば離れるほど弱くなるという性質があります。
それは裏を返せば、近づけば近づくほど強くなるということです。

飛行機に乗ると宇宙からの放射線を浴びることになるのですが、
遠いところからきているので怖いものではありません。

しかし、食べ物や水や空気を通して体の内側に放射性物質を取り入れてしまった場合は、
最も近い距離で放射線を浴びるので、影響が最も大きくなります。

原発推進側は、放射性物質を自然界に放出すれば、汚染濃度は1兆分の1程度に薄まるから
大丈夫ということをよく言います。しかし、実際は違います。

参考資料4、放射線の被害は距離の二乗に反比例する

上図は、1m離れた所からの外部被曝と、
細胞のすぐ隣、0.1mmの所からの内部被曝の違いについてです。

放射線の被害には定理があり、「距離の二乗に反比例する」というのがあります。

仮に、1mの距離から放射線を浴びた時の外部被曝の影響度を1とします。

次に細胞のすぐ隣、0.1mmからの内部被曝の影響についてです。
距離の単位が違うのでそろえます。
0.1mmというのは1mの1万分の1なので、
0.1(mm)=1/10000(m) となります。

1mからの外部被曝の影響度=1 とすると、
1/10000(m)からの内部被曝の影響度=? この?を求める計算式は以下の通り。

定理の通りに、距離を二乗し反比例させます。
まず二乗すると、1/10000 × 1/10000 = 1/100000000

次に反比例ですが、反比例というのは分母と分子がひっくり返るということですので、
1/100000000をひっくり返すと、
100000000(1億)となります。

つまり、1mの距離からの外部被曝の影響は1だったとしても
0.1mmの距離からの内部被曝の影響は100000000(1億)となります。
0.1mmの内部被曝の影響は、1mの外部被曝の1億倍という事です。
外部被曝と内部被曝の影響は大きく違います。

そして、前述した様に、生物濃縮によって汚染は濃縮されます。
仮に少なく見積もって1万倍に放射性物質が生物濃縮されたとします。
生物濃縮の1万倍と、内部被曝の1億倍を合わせると、1兆倍になります。
10000(1万)×100000000(1億)=1000000000000(1兆)

つまり、仮に原発推進側が言う様に、1兆分の1に汚染濃度が薄まったとしても、
生物濃縮と、体内からの内部被曝という条件によって1兆倍になり、
1兆分の1×1兆=1
結局、薄まるという効果はなくなります。

ですから1兆分の1だから大丈夫ですというのではなく、
実は最終的に問題が出てきてしまうことになる訳です。

また、子どもの場合はさらに影響が出やすくなります。
上記の様に影響度が1となるのは大人の場合で、
子供の場合は10、赤ちゃんは100になると言われています。
というのも、子ども、特に赤ちゃんの時は細胞分裂が活発に行われるからです。
1つの受精卵から2個に分裂し、4個に分裂し、8個に分裂と繰り返していく中で、
人の体の形が作られていきます。
最初の段階でDNAが破壊されてしまいますと、異常な細胞が増殖していきます。
細胞分裂が活発な赤ちゃんや子供にとって放射能の影響は非常に大きくなります。

その結果が、イギリスのセラフィールド再処理工場周辺で見られた
子どもの白血病や癌の増加であったり、
あるいは劣化ウラン弾をうちこまれたイラクでの白血病や癌、奇形児の増加に出ています。
因果関係が100%証明されている訳ではありませんが、
工場の稼動前、戦争前の発症率と比較すると急激な増加であり、
逆に無関係を証明するのは難しいことです。

妊婦の人がX線写真の撮影を避けなければいけないのは、その様な被害を起こさない為です。



5、「低線量(微量)被曝は害がない」は真実か

放射性物質を体内に取り入れるとどの様な影響が出るのか、
それを考えると低線量の被曝だから安心とは思えなくなります。

放射性物質は体内に取り込まれると、細胞のすぐそばから放射線を出します。
その放射線は細胞膜を破壊し、DNAを破壊します。
しかし細胞には優れた機能があり、壊れたDNAを修復する機能があります。
例えば体外からの被曝であれば、壊れたDNAは元に戻る可能性があります。

しかし、体の内側に入った放射性物質は、細胞のすぐそばから
継続的に放射線を放出してきます。
そうするとDNAが完全に修復する前に再び放射線でDNAが破壊されてしまいます。
それを繰り返しているとDNAが異常再結合したり、突然変異を起こしたりします。
これが癌や白血病の原因の一つになります。


上の画像をクリックすると内部被曝による染色体異常の映像が見れます。


その他、日本で原爆を落とされたときに現場にいなかった人が、
後日、家族を探すために爆心地にいって、その後被曝の症状を起こす原爆ぶらぶら病や、
イラクであった湾岸戦争症候群という言葉に表されるように、
がんや白血病以外にも様々な症状が起きる内部被曝の脅威は存在します。

放射性物質の半減期(放射線を発する能力が半分になること)は、
長いものでは何万年、何億年というのがあります。
生物にとっては永久といっていいほどの期間、放射線を発します。
1度作られた放射性物質は食物連鎖が繰り返されるなかで、地球上を永遠に巡ります。


長崎大学が、原爆投下から60年以上経った現在でも、
放射線が細胞内で発せられているのを確認した映像があります。


上の画像をクリック
(youtubeで「死の灰の内部被爆確認」で検索しても見れます。*爆の字に注意)

このように放射線はDNAを破壊する力を持っているので、
それを体内に取り入れてしまうこと自体が、危険な行為であり、
低線量だから安心ということはありません。

つまり、内部被曝は「希釈」や「低線量」という言葉では誤魔化す事ができない、
大変危険なことであるといえます。


以下の4つの画像も、クリックすると動画が見れます。参考としてご覧下さい。


放射線とDNA:崎山比早子(衆院科学技術特別委)



DNAへのダメージが変異に導く



フリーラジカルのDNAへの攻撃



アルファ線は体内で40μm内に10万個のフリーラジカルを生じ分子を切断する


http://ima-ikiteiruhushigi.cocolog-nifty.com/nature/2005/02/post.html
放射線とDNA / 人は放射線になぜ弱いか / 死の灰の内部被曝確認





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