小さな植林隊


活動報告 2018年(平成30年) 8月27日(火)



インドネシア ボルネオ島 植林 アブラヤシプランテーション視察 プラスチックごみの状況 その3





夜が明けて朝ごはん。

ナシゴレンです。味は全然辛くなく、とてもおいしかったです。


宿泊先のお宅の様子を紹介します。
居間の様子。


居間の奥の部屋で、壁際にコンロがありここで料理しています。


トイレとマンディ(水浴び)をする場所です。

四角い箱の中に雨水と桶が入っています。

マンディは、手前の空いている空間で体を洗い、桶で水を汲んで流します。

トイレに流す水も、同じく四角い箱の中の水を桶で汲んで流します。

普通、トイレットペーパーはないのが一般的ですが、こちらのお宅にはありました。

床もコンクリ敷きで便座は洋風、他の家と比べてきれいな感じでした。


こちらは食器などを洗う場所です。

テラスの様になっており、食器などを洗った水は、そのまま板の床を抜けて、地面に流れます。

とても大きな鍋(直径50cm以上)もありました。

マンディ用の水と、料理で使う水は雨水を利用しており、

家の外に大きな雨水タンクが2台設置されていました。雨水はこちらでは大変貴重です。

ちなみに家によっては、マンディの水は、川の水を汲んで利用しているところもあります。


家の裏側。包装などのプラスチックごみが結構落ちています。誤食していないか心配です。


朝7時30分に船着場集合でしたので、歯磨きを済ませて家を出発。
家の前を流れる川。茶色く濁っています。 子供達はここでマンディをします。


道の脇で、ごみを野焼きしていました。




環境のお話 7 :ダイオキシン


塩素を含むプラスチックの低温焼却は、ダイオキシンを発生させるので健康への悪影響が懸念されます。

ダイオキシンには種類が多くダイオキシン類と表示されたりしますが、過去にあった被害例としては、

1968年、福岡県、長崎県を中心に西日本一帯で食中毒が発生したカネミ油症事件がありました。

PCB(ポリ塩化ビフェニル)が食品に混入、熱でダイオキシンに変化。

これを摂取した人の顔に色素が沈着、あかちゃんの皮膚にも黒い斑点ができ、

「黒いあかちゃん」として、日本だけでなく、世界に衝撃を与えました。




また2004年のウクライナ大統領選の候補者ヴィクトル・ユシチェンコ氏は、ダイオキシンによる

毒殺未遂事件に合い、命は落とさなかったものの、顔に痘瘡ができ、別人の様になりました。


ベトナム戦争で1961年から1975年までの間、ダイオキシンが含まれた「枯葉剤」が撒かれ、

奇形を持った子供が多数生まれました。

べとちゃんどくちゃん、という2人の下半身がつながった子供が日本でもかつて報道されていました。

体を分ける手術をして成功しましたが、その後、べとちゃんは2007年に亡くなっていました。


ダイオキシンの危険性を考えると、発生を未然に防ぐやり方をとる事が大切というのがわかると思います。

「カネミ油症」、「ベトナム戦争 枯葉剤」、「ユシチェンコ」、各自検索してみてください。





環境のお話 8 :除草剤と遺伝子組換え食品


ダイオキシンに関連して。

上記のベトナム戦争で使われた枯葉剤を作っていた製造会社の1つが有名なモンサントです。

(2018年6月ドイツの製薬・化学大手のバイエルがモンサントを約630億ドル(約7兆円)で買収。)

これまでモンサントは除草剤ラウンドアップと遺伝子組換え食品をセットで販売し、

世界の農業のあり方を大きく変えてきました。


ラウンドアップの主成分、グリホサートについて、WHO(世界保健機構)の外部組織である、

国際がん研究機関は、2015年3月、殺虫剤マラチオン、ダイアジノンとともに、グループ1に次ぎ

2番目にリスクの高いグループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)に指定しました。


2018年8月、除草剤で末期がんになったとされる男性が、モンサントを提訴した裁判で、

サンフランシスコ裁判所の陪審は総額2億9千万ドル(約320億円)の支払いをモンサントに

命じる評決を出しました。この評決によって、今後数千件に及ぶ訴訟に道を開く可能性があると

専門家は見ています。

除草剤で末期がんに、米裁判 モンサントに約320億円の支払い命じる陪審評決 (AFPBB NEWS)


日本人はこの意味をしっかりと認識しないといけません。

しかし今の日本では100円ショップでもグリホサートが入っている除草剤は普通に売られ、

安い値段で誰でも購入することができる状況です。


以下の動画では、遺伝子組換えの飼料を家畜に与えた結果、家畜の体調が悪くなり、

死んでしまうなどの報告がされています。




これまでモンサントは、強力な除草剤ラウンドアップとあわせて、遺伝子組換え作物を販売してきました。

しかし遺伝子組換えされた作物には危険性が様々指摘されています。

当然、危険性を訴える研究結果に対しては、政治的圧力などもかかるでしょう。

なので正確なことを把握するのは難しいのですが、それでも総合的に考えて、

あえて遺伝子組換えを選択する必要はないと思います。


遺伝子組換えの長期的な影響が正確に分かっていない以上、安易に拡大させてしまって、

後から問題があると分かった場合、遺伝子汚染の影響は計り知れないものとなりえます。


前述したBSE問題でも、異常なプリオン(タンパク質)に汚染された肉骨粉を食べた牛は、

正常なプリオンが異常プリオンに変質していきました。食べ物による発病です。


私達の体は食べ物によって作られています。

おかしな食べ物を食べれば、体に異常をきたすと考えるのは当然ではないでしょうか。


遺伝子組換えや除草剤、モンサントについて、以下のサイトもご参考にどうぞ。

フランスでのねずみを使った遺伝子組換え食品の研究について
サルでもわかる遺伝子組換え

フランスでの研究結果は不十分とするフランス専門家パネルについて
AFPBB ニュース

アメリカでは主婦たちによる電話問い合わせが企業を変えたお話







環境のお話 9 :海洋プラスチック、マイクロプラスチック


もう1つプラスチック関連として世界で大問題となっている海のプラスチックごみも紹介します。

以下の映像は、海だけでなく、鳥の胃の中までプラスチックごみが一杯になっています。是非ご覧ください。



フィリピンの海岸に打ち上げられたクジラの死骸の胃の中から40kgビニール袋が見つかりました。
クジラの死骸から40キロ分のビニール袋、飢えと脱水で死ぬ

イタリアでも同様にマッコウクジラの死骸の胃の中から22kgのプラスチックごみが見つかりました。
クジラの死骸から22キロのプラスチック、胎児も死ぬ イタリア


そして、さらに重大と思われるのが、5mm以下の大きさのマイクロプラスチックの影響です。

こちらはプランクトンが、マイクロプラスチックを食べる様子です。
出典:海を殺すなプラスチック汚染

プランクトンがマイクロプラスチックを食べる様子の動画が以下で見れます。

貴重ですので是非ご覧ください。

海を殺すなプラスチック汚染


クジラがプラスチックごみをお腹にたくさん溜め込んで死んでしまうのと同様に、プランクトンも、

その小さなお腹の中に、マイクロプラスチックを溜め込んでしまえば、当然死にます。

もし、この世から多くのプランクトンがいなくなってしまえば、それを食べている小魚は、

えさがなくなって死んでしまいます。

小魚がいなくなると、それを食べている少し大きな魚も死に絶え、そうなると、

より大きな魚もいなくなります。結果的に私達人間も食べ物に困ってしまいます。

命は食物連鎖でつながっており、どの段階の生き物もいなくなってはいけないのです。


マイクロプラスチックは、1つのプラスチック製品が長い間、太陽の光を浴び続ける事で、

もろくなって細分化し、細かい破片となって無限大に増えていきます。

元が1枚のレジ袋だとしても、紫外線を浴びていると無数のマイクロプラスチックになってしまうのです。

その汚染状況は、小さすぎる為、海を見てもどれだけ深刻なのか、わかりません。

気がついたら、ある日突然、プランクトンが絶滅している、そんな事態もありえるのです。


自宅近くに放置されていたプラスチックごみ。
半透明の白い小さな破片は、レジ袋が劣化したもの。もろくて、触ると簡単に崩れて細かくなります。
こうなると回収は難しく、自然界に捨てられると取り返しがつかないことになります。


また、洗顔料や歯磨き粉に入っているマイクロビーズなど、最初から小さく作られた製品があります。

他にも、アクリル、ポリエステル、ナイロンなど様々な化学繊維からマイクロプラスチックが発生し、

洗濯すれば排水溝から、川、海へと流れていきます。


化学繊維の衣類は長く使うほど劣化し、多くのマイクロプラスチックを発生させます。

大事に使うことが、環境悪化に拍車をかけてしまうという事態になってしまいます。

もはやこれは「間違った文化」と言わざるを得ません。

できるだけ早急に、綿や麻、絹などの、自然由来の分解される衣類に転換していく必要があります。



現在の日本のプラスチックごみの扱いは、自治体によって変わってきます。

高温焼却できる炉をもつ焼却場では燃やしますが、なければそのまま燃えないごみとして

埋め立てます。

また、汚れていないプラスチックごみはこれまで資源ごみとして回収し、主に中国に

輸出していましたが、中国が環境対策からプラごみの輸入を禁止しました。

中国は、世界の中で最もプラスチックごみを海洋流出させ、世界から批判を浴びていたためです。

輸出できなくなったプラスチックごみは日本国内にたまり続けています。

一部は東南アジアに輸出されるようになりました。

新たな輸出先でもプラスチックごみの海洋放出の危険性は高まります。


プラスチックごみは燃焼温度を800度以上にすることで、ダイオキシンの発生を抑える事が

できますが、なくなっている訳ではありません。

焼却時の煙はバグフィルターで濾過されてから自然界に排出されますが、そのバグフィルターには

ダイオキシンが集積されています。また、焼却灰にもダイオキシンは含まれています。

バグフィルターや焼却灰はコンクリで固める固化処理をして、高濃度の塊を埋め立て処理する形に

なっています。要するに、ダイオキシンは大気に放出される量は少なくなった代わりに、

高濃度の塊が土中に埋められているということになります。



つまり、プラスチックごみとは、

燃やさず埋め立てれば、多くの埋立地が必要となり、

焼却場で燃やして減量化すれば、ダイオキシンが発生し、

自然界にばら撒かれてしまえば、様々な生き物が誤食し、生き物の命を奪ってしまう。。。

こんなやっかいな物はありません。



安くて便利といって大量に使ってきたものが、使われ始めて約100年で問題が大きく表面化しました。

正確には、これまでも問題があるのがわかっていたにもかかわらず、見過ごしてきた結果です。

そして今も、問題がわかっていてもすぐに止められないという状況です。


もはや消費者の選択次第ではなく、製造側がどれだけプラスチック製品を削減できるかという状況です。

そのためには企業の自主努力だけではだめで、国の法的規制が必要です。

そして、そのためには、政治家、官僚が、状況にあわせて最善の政策を立てること、あわせて国民は

政治に関心を持ち、しっかり仕事をする議員としない議員を見極め、投票で選んでいく必要があります。


真っ当な志を持つ政治家は、虚偽記載や隠蔽、改ざん、捏造などの不正を働く官僚を罷免、追放し、

事実に基づき、正しく政策を立案する官僚に仕事を任せていくようにしなければなりません。

その様にしてはじめて、国はまともな状態になっていきます。


ちなみに余談ですが、日本では物事の問題をわかりにくくさせるため、言葉を正確に用いていません。

例えば、

ごみ焼却場の事を、ごみ焼却場とは表現せずに、「清掃工場」や「衛生センター」と言い、

犬や猫を殺処分する施設も、「動物愛護センター」や「動物指導センター」と言い、

福島原発の事故が起きる前までは、事故とは言わず、「事象」と言い、

福島第一原発事故の炉心溶融(メルトダウン)を「炉心損傷」と言い続けるなど。


この様な表現を持ちいることで、問題が存在していないような錯覚を与えます。

正確な名称を使わないのは日本の独特の、問題を誤魔化す姿勢の表れです。


論語にも、「名正からざればすなわち言従わず〜」とあります。

正確な名称をつけて、問題を隠さない事、これが問題解決のための第一歩となります。



さて話を戻し、朝の船着場で集合した後は、船に乗って川を下ります。



10時ごろ。記念写真。


現地の青年団を交えて。


船の渋滞。国立公園に訪れる人が集まっています。


乗船中に姿を見せてくれたテングザル。


乗ってきた船は、民家らしき建物の隣に接岸。家の横の細い道を伝っていきます。


さらに、小船を橋代わりにして上陸。


その後森の中を少し歩きます。


ごみは普通に捨てられています。


ボルネオ鉄木、別名、ウリン、アイアンウッド、ブリアン。

とても堅く、水にも強いため桟橋の構造材として使われます。


ゴムの木。20年程度、天然ゴムが採れます。


アブラヤシの実。実1粒から重量の約40%、塊全体としては約25〜30%が油として採れるそうです。


そしてここが2015年の大規模森林火災の跡地。火災は各地で約1ヶ月間続きました。


背の高い木がありません。



忘れられない光景です。

見晴らしが良く、とても赤道直下の熱帯雨林があった場所とは思えません。

今もインドネシアでは毎年、あちこちで森林火災が発生しています。




環境のお話 10 :インドネシアの森林火災・泥炭火災


アブラヤシプランテーションを作る為に、森林を安く切り開く違法な野焼きが横行し、

インドネシアの各地で森林火災が発生しています。

熱帯雨林には、泥炭(でいたん:過去の動植物遺骸が、完全分解されず堆積した土壌。水分を多く含む)

が多く存在し、炭素の貯蔵庫となっています。

本来ならば、水分が多く燃えにくいのですが、森の伐採や、排水路を作って土壌から水を抜いた事で、

土壌や周辺一帯が乾燥し、燃えやすい状態になっています。

森林火災が発生すると、火は乾燥した泥炭にまで燃え移り、手がつけられない状況となります。








その後も道を進んで行くと、木材を積んだトラックが追い越していきました。

直径がさほど大きくなかったので、まだ若い木でしょう。


そしてこんな場所にも、ツバメの家が建築中でした。

ツバメの巣は食材として高値で売れるため、人が住む様な建物が、ツバメ用に使われています。

需要があるから供給する。

パーム油もツバメの巣も同じです。

熱帯雨林の火災跡地に出来ているのが、なんとも残念な感じです。


キャッサバ。やせた土地でも育つ。根が芋状になって、毒抜きすることで食用になります。


次はアブラヤシプランテーションへ向かいます。


その4へ続く




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