小さな植林隊


活動報告 2018年(平成30年) 8月26日(日)



インドネシア ボルネオ島 植林 アブラヤシプランテーション視察 プラスチックごみの状況 その2





さて、翌早朝。

現地時間で朝4時30分(日本時間で6時30分 インドネシアは時差2時間)。

ジャカルタの空港から飛行機に乗ります。

搭乗する際、煙っぽい臭いが漂っていました。

この様な橙色の朝日も、煙の影響によるものだそうです。

前ページの冒頭で紹介した森林火災が結構ひどいのではないかと、少し先が心配になりました。


飛行機に乗り、2時間ほどでパンカランブーンのイスカンダル空港に到着。

空港にはボルネオ島の象徴、オランウータンの写真が大きく壁に貼ってありました。

空港からはブルータクシーに乗り、最初の目的地、FNPFの事務所へ行きます。


こちらがFNPF事務所。ボルネオ島で森林再生活動をしている団体です。


奥の右端が代表のバスキさん。

バスキさんは、過去に違法伐採に加担していたのですが、その後、心を入れ替えて、

森林保護活動を現地で先導しています。

11人の仲間と共に、年間150万本の木を植える目標を立て、国立公園内は在来種、

それ以外の場所では実の成る木、換金可能な樹種などを植えています。


違法伐採は1970年代から始まり、1990年頃から政府は伐採を許可制にして

伐採する者に再植林の義務付けしたけれども、それは守られず、

軍と警察が結びつき、さらに色々な地域から人が集まって違法伐採が横行しました。


2000年代は政治との癒着もあり、国立公園の中でも堂々と違法伐採がされていました。

今は切る木がなくなってきたため、伐採会社の多くが破産しました。

他に、金の違法採掘もされてきました。


そして、現在は、村人の約8割が、パーム油がとれるアブラヤシのプランテーションで

働いています。元は多くが農民だった人たちです。

アブラヤシプランテーションは現在1400万ヘクタールもあります。

多くの熱帯林が切り開かれ、そこに住んでいた様々な生き物達は、追い払われ、

姿を消していきました。

しかし、そういった中でも、ダヤックの先住民は今でも強固に森を守っています。

そして、最近では若者の意識が変わってきたと感じるようになったそうです。


私が、国からの助成金はあるのかたずねたところ、過去に、タンジュンで8000ヘクタールの

政府主導の森林回復プログラムが実施されたけれども、失敗に終わったとの事でした。

現在は国の計画として5000ヘクタールの森林回復計画があるけれども、その予算はついておらず、

実質は国立公園の事務所がプログラムの運営を担当しています。


FNPFとしてはできるだけ国の助成金には頼りたくないそうで、活動資金を得る為に、

アブラヤシプランテーションを実施する企業や、金採掘を行う企業に対して、

CSR活用の提案をしています。また、海外からの支援金は積極的に活用しているとの事でした。


今後は、年に200万本の植林ができるようにしたいと語っていました。

2018年はこれまで、1ヶ月に大体6〜10万本、1ヘクタールあたり1万本植えているそうです。


ちなみに前述したとおり、日本の一般的な林業では1ヘクタール当たり3000本を植えています。

(日本の林業と、熱帯林の森作りは単純に比較はできませんが。)


また、バスキさんのお話では、現在、村の人たちはほとんど自給していないそうです。

それは、過去、ボルネオ島のいたるところに、「排水路」が掘られて土壌が乾燥化し、

土の塩分濃度が上昇する塩害が発生して土壌環境が悪くなったり、あるいは洪水が

発生したりして、農業がやりにくくなった為、という事でした。(排水路については後ほど紹介)

プランターで野菜を作っていた人たちもいたけれども、最近はそれも減り、

野菜売りの人が来るようになって、村人はそこから野菜を買うようになったそうです。


木材や金、パーム油など、海外からの需要によって、現地の人達が色々影響を受けていると感じました。

最後、みんなで集合写真

この後は、近くのお店で昼食を取る為、歩いて移動します。


道はこんな感じ。 お店


自転車の荷台が独特。 お店


道端のごみ 同じく道端のごみ


歩いて10分くらい経ったところに、お昼を食べるお店がありました。
お昼を食べるお店 右の女性がお店の方


お昼ごはんは、ナシゴレン。

インドネシア語でナシはご飯、ゴレンは炒める、つまりチャーハンです。

味は辛くなく、とってもおいしいかったです。日本人向けの感じ。

ここも肉、卵抜きのベジ対応してくれました。

ナシゴレンとつめたいお茶のセットで、値段は1万6千ルピア。

インドネシアの物価は、値段を100分の1にすると大体日本円という感じなので、

1万6千ルピアは、日本円で約160円。

観光客向けではなく、地元の人向けのお店という感じですね。


気になった点を挙げるなら、お皿の淵が黒ずんで汚れていたり、

飲み物のグラスの飲み口が欠けていたり、

すぐとなりで大音量のカラオケが行われていた等ありますが、この程度なら許容範囲。

むしろ地元の雰囲気を感じることができたので私は満足でした。

お店の方に、エナック スカリ(とてもおいしかった)と、早速インドネシア語を使って会話。


ついでにお手洗いを借りたいとお店の人に言ったら、一段上がって奥にあるということで、

靴を脱ぐよう言われたので、靴下でトイレまで行くと、便器の周りの床は水で濡れており、

ちょっと靴下では到達できない状態でした。

しかもトイレが、日本人には馴染みの無い、紙を使わないトイレ、

つまり、お尻を左手で拭いて、それを桶の水で流す、という現地の本格的なトイレでした。

ネットで調べてもらえばわかりますが、日本とはちょっと違います。


初めて見て、ああ、これか、と納得し、今はまだその時ではないと、

ひとまず、そこのトイレを使用するのは諦めました。


さて、その後は車で町まで移動し、民家の裏路地を歩いて船着場へ向かいます。


そしてこちらが今回使用する船。いよいよ旅らしくなってきました。豪華2階建て。


船の2階部分。潮風に吹かれ、気分は高揚。


タンジュンハラパン村へ向けて出航。(^-^)/


細い支流に入っていきます。熱帯の雰囲気です。


タンジュンプティン国立公園と書かれています。


川の水は茶色


左奥男性2人は村の青年団の人達

船に乗って2時間近く川を進みました。風が気持ちよく、景色も最高でした。

船に乗っている間、現地の青年団の若者が英語で色々話しかけてきました。

名前はADUT(アドゥ)。とても明るく、気さくな感じの若者です。(左奥ピンクのシャツを着た人。)

もう1人はIKURA(イラ)。青年団のリーダーです。


インドネシアには元々たくさんの部族があり、それぞれ違った言語を話すのですが、

それだと困るので、インドネシア語が共通語として使われています。

つまりインドネシア語は、インドネシア人にとって、第2言語であり、日本人にとっての英語の様なもの。

なので、英語となると、インドネシア人にとって第3言語の様な感じになり、あまり一般的ではありません。

しかし、この青年団の2人は、私達に対して英語を使っていました。


そして、目的地のハラパン村に到着。


船着場には、ホームステイ先の家族達が出迎えてくれました。

船を降りると、日本の参加者が名前を呼ばれ、ホームステイ先の家族と対面。

対面するたびに歓声があがっていました。


私の名前が呼ばれると、受け入れ先の人と思われる女性が大きな声で笑っていました。

名前はMIAH(ミアー)。とにかく声がでかくてとっても元気な方です。

周りの人も一緒に笑っていました。

私があまりにイケメン過ぎるためか、あるいは単に坊主が珍しかったのかわかりませんが、

とりあえず非常にウケていたので、一緒に笑っていました。笑

一通り皆の名前が呼ばれて対面が終わったら、MIAHと一緒に歩いて自宅まで案内してもらいました。


村の様子

村はL字型の様な感じで家が並んでいました。

村の端から端まで歩いて大体10分〜15分程度。

上の写真にはバイクが写っていますが、村内の移動だけならバイクは必要ない程度の大きさです。

車は走っていません。

村内には小さな雑貨店の様なものが1つ、学校が1つ、という感じでした。




環境のお話 5 :車社会を考える


インドネシアのボルネオ島にある村と、日本の町を単純に比較はできませんが、

車が走っていないのどかな村を見て、とても安心感がありました。


日本の市街地ではどこでも多くの自動車が走っています。

確かに便利ですが、交通事故の増加や、環境への負荷など

様々な弊害が浮き彫りになっています。


そこで、今の当たり前の日常を見直すために、仮に自動車の利用を控えた場合、

どの様な良い効果があるかを以下に挙げてみます。


1、二酸化炭素の発生抑制による地球温暖化防止 → 豪雨や土砂崩れなどの自然災害防止

2、二酸化硫黄や二酸化窒素など、酸性物質の発生抑制による酸性雨の防止

3、PM2.5の発生抑制

4、夏の光化学スモッグの発生抑制 (今でも毎年夏に警報が出ています。)

5、自動車台数削減後、駐車場の他利用への転換(例:緑地、畑)にして   
  都市型温暖化ヒートアイランド現象の抑制、他、土地の有効利用     ← ここ重要!


6、交通事故発生抑制 *死者数4431人 負傷者数58万0850人  (2017年)
  *交通事故  年間の30日以内死者数について (警察庁)

7、家計負担軽減・・・車体購入代、駐車場代、重量税、保険代、燃料代、車検代、清掃費など
  年間にかかる費用 約40万円を削減。
(計算式はこちら

8、健康促進・・・医療費削減(個人、国の税金共に)


などなど、自動車を手放す事で、様々な利点があります。

逆に言えば、自動車の快適さは、これらを犠牲にして得られているという事です。


上記5、の駐車場を緑地に転換する事の重要性ですが、

環境問題が顕在化してきたのはなぜかと考える時、

過去と現在の町の違いは何か、と考えるとわかります。

それは緑地の減少です。

緑地の減少というのが、地球温暖化やヒートアイランド現象、生物の減少につながっています。

これら問題を解決するなら、もう一度緑地を増やせばいいのです。

とは言っても、住宅や様々な施設など、人が使っているものを簡単に失くす事はできません。

しかし駐車場は、習慣さえ変えれば、公共交通が発達した都市部であれば減らすのは十分可能です。

車利用が前提の社会では、自宅の駐車場だけでなく、商業施設や公共施設など、あらゆる場所に

駐車場が設けられている事が必要となります。

つまり、実際の自動車の台数よりもはるかに多い分の駐車場が町に設けられているわけです。



以下は、日本の自動車台数の推移です。

(画像をクリックするとダウンロードできます。)

1907年(明治40年)には日本に16台しかなかった自動車は、その約100年後、

2011年(平成23年)には約7860万台と、まさに激増という表現が相応しいほど増えました。

自宅の駐車場だけでなく、コンビニやスーパーなどのお店やあらゆるサービス関連の商業施設、

図書館、病院、役所などの公共施設、事務所や工場など、様々な場所に駐車場は確保されています。

車社会を維持する為に失われた土地は、一体どれほどになるのでしょうか。


更に自動車企業は、日本はすでに飽和市場という事で、海外での販売に力を入れています。

どこまで数を増やせば気が済むのでしょうか?

私は自動車全てが悪いと言うつもりはありません。

しかし物には限度というものがあります。

永遠に増やし続ける事は、気候問題やエネルギー問題、資源や廃棄、土地利用などの観点から

無理な話である事は明白です。

これは日本だけの問題ではありません。

世界全体の問題として話し合う必要があると思います。


夜遅くに、車通りが減って静かになった町を眺めてみてください。

空いている駐車場や、広い道路がいたるところにある事に気づきます。

これは土地利用という点から見ても、なんてもったいない事だろうというのがわかります。



動物という観点を加えれば、その土地には本来様々な生き物たちがいたわけです。

動物は夜行性のものもたくさんいます。

森や自然が残っていたときは、夜その場で、色々活動していたはずです。

しかし今や、全てコンクリやアスファルトで覆われて自然がなくなってしまった町では、

動物達は生きていけず姿を消してしまいました。

私は、夜、車が通らない時間に、道路や駐車場でだだっ広くなった町の様子を見て、

死んだ空間、といつも思ってしまいます。



6、の年間死者数ですが、未だに4431人と、多くの人が交通事故で亡くなっている事がわかります。

例えば、年に4千人以上亡くなる強力な悪性ウィルスが発生したとなれば、ニュースは連日報道し、

社会も大混乱するでしょう。それくらいの驚きの数字が4千人という死者数だと思います。

交通事故ですから、死ぬ人と同時に、殺す人も4千人、存在するわけです。

当然ながら、殺したいと思って交通事故を起こす人はほとんどいないでしょう。

負傷者に至っては58万人もいます。

交通事故の当事者だけでなく、その家族まで含めれば、さらに多くの人が

交通事故に関与している事になります。


時々熊が人里を降りて人を殺したとか、スズメバチに刺されて人が死んだなどのニュースが流れますが、

交通事故の死者数の方がよっぽど多いわけです。

町の平和や安全を願うなら、交通事故をなくしていく様にする事も非常に重要です。


特に最近は、高齢者の判断力の低下による事故が増えています。

以下は、高速道路における事故または確保に至った逆走運転者の年齢割合グラフです。
出典:国土交通省 「逆走事案のデータ分析結果」(平成23年〜平成28年の集計)


高速道路を逆走した運転手の約7割が、65歳以上の高齢者という現実が見えてきます。

日常的に使う一般道を含めれば、この割合はもっと増えるでしょう。


その他にもアクセルとブレーキを踏み間違えて、交差点などに突っ込む事故も増えています。

2019年4月、池袋で、87歳の高齢者が運転する自動車が赤信号を無視して交差点に突っ込み、

女性とその子供が亡くなるという事故が発生。多くの怒りの声が挙がりました。


この様な、危険な事故が繰り返されない為にも、

例えば現在71歳以上の運転免許の有効期間は3年ですが、それを半年や1年に変更したり、

免許と自動車を国に返納する事で、電車やバスの料金を優遇したり、地域での共同乗り合いができるなど、

自動車運転免許と自動車の自主返納が促進される様な仕組み作りが大切です。


また、これまでは車利用が前提の町づくりがされてきましたが、これからはコンパクトシティという、

できるだけ町の中心部に集めていく様な町づくりも必要です。

それによって、生活に必要な、電気、ガス、水道、学校、病院、図書館、役所など

様々な物を維持する上でも経費削減につながっていきます。


特に高齢化が進む日本では、歩いていける距離に商店がある事がとても重要です。

自動車利用が前提の郊外型大規模ショッピングモールは、

町の中心部に元々あった商店街を軒並み閉店に追いやり、

買い物に歩いていけない買い物難民、交通弱者を発生させてしまいます。

誰もが安心して暮らせる町というのは、歩き、自転車、公共交通で用事が済む様な町であると言えます。



「車の運転は命がけ」

命がけとは、自分の命だけでなく、相手の命も含まれます。

1トンを超す重さの車を運転して事故を起こせば、簡単に死につながります。


ちょっとそこまで買い物をするために、わざわざ命をかける必要があるのか、と考えると

全く無いですよね。命をかけるなんてリスクが大きすぎますし、リターンは小さすぎます。

自分の命がなくなれば人生それで終わりですし、相手の命を奪えば、遺族に対して

一生許されない罪を背負う事になり、巨額の損害賠償と死ぬまで心の重荷となります。


こう考えると、ちょっとそこまでの買い物だけでなく、誰かの送り迎え、行楽の為など

大抵の移動においても、わざわざ命をかける必要はないと思いませんか?

仕事で使うにしても、車を使わないようにするために、色々工夫できる余地がないか

是非考えてみてください。

結果的に、世の中のためだけでなく、自分自身のためにもつながってくると思います。

日常の移動はできるだけ

歩き、自転車、公共交通

を心がけてみてください。


動画
池袋暴走事故〜残された遺族の現実〜【テレ東NEWSドキュメンタリー】


以下は、交通事故遺族の支援組織のサイトです。

関東交通犯罪遺族の会
交通事故被害者家族ネットワーク
NPO法人KENTO


以下は交通事故遺族の方のサイトです。

池袋暴走事故 遺族のブログ
森にかえったしな乃
土と炎の鎮魂の詩
交通事故の示談交渉で負けないための知識
交通死「遺された親」の叫び



さて、話を戻します。

私は海外のホームステイは初めての経験です。しかもインドネシア語は英語と違います。

ここでは基本的に英語は通じません。(青年団の何名かは話せますが。)

旅行の3ヶ月位前からインドネシア語を勉強し始め、インドネシア人の大学生に先生になってもらって会話の

練習もしてきましたが、付け焼刃の様なもの。日本から持ってきた2冊のインドネシア語の本が頼りです。


宿泊先の家についたら、日本で買ってきたお土産(お菓子類)をさっそく渡して、

日本で作ってきたあいさつ文を見ながら、インドネシア語で自己紹介をしました。

私が寝泊りするお部屋はベッドと椅子とたんすがある、4畳位のお部屋ですが、

きれいに片付いていました。お茶とブドウの様な果物をいただきました。


その後、各自荷物をそれぞれの宿泊先に置いてから一度集まり、この日の夜の食事について

説明がありました。

説明後、解散し、夕飯前にマンディ(水浴び。日本で言う、お風呂)を済ませました。

お家の様子は次のページで紹介します。


そして夕飯。

日本の参加者全員で集まって食事をしました。

インドネシアには、テンペという大豆を発酵させた食品があります。

日本ではベジやヴィーガンが利用する肉の代用品、大豆ミートというのがありますが、それに似ています。

テンペは一般的に使われており、ここでもそれが使われた料理がでました。おいしかったです。

とても食べきれない量が出されました。




環境のお話 6 :お肉と環境のつながり、畜産動物の実情


畜産動物における問題は色々あります。

ここでは主要点を3つ、森林減少、動物の福祉、健康について紹介します。

●1、森林減少

おいしいお肉を作るのに必要な穀物量 (色々数字はありますが、概ね以下の感じです。)

牛肉1kg・・・穀物11kg
豚肉1kg・・・穀物7kg
鶏肉1kg・・・穀物4kg

お肉を食べれば食べる程、そのえさとなる穀物が必要で、その穀物を作る為に、農地が必要となります。

その農地はどの様に確保するかを考えると、森や草地など、自然がある場所を転換して使います。

つまり、肉をたくさん食べる程に、どこかの森を破壊する事になります。

森を破壊するという事は、そこに住む野生動物や植物など、様々な生き物の命を奪う事になり、

生物多様性の劣化につながります。

また、森は二酸化炭素の吸収源、そして、木は炭素の貯蔵庫でもあるので、

森の伐採は地球温暖化の促進にもつながります。

ブラジル 熱帯林伐採と農地転換


●2、動物の福祉(アニマルウェルフェア)

畜産動物は、経済的に効率よくする為に、限られた空間の中でできるだけ多く、育てようとします。

一定の敷地内で、飼育する数が多いほど、畜産業の儲けが増える事になります。

一般的に、鶏ならバタリーケージ、豚なら妊娠ストールという、とても小さい檻の中に閉じ込められ、

牛は牛舎の中で自由がほとんどないつなぎ飼いで飼育されます。

バタリーケージの場合、A4サイズの空間に2羽の鶏が入れられます。

羽根を広げる事も、向きを変える事もできず、ただひたすら立ち尽くすのみ。

鶏舎の中に太陽の光は入る事なく、風を感じる事もなく、草木の匂いや、他の生き物に出会う事も

ありません。大好きな砂浴びもできません。

そこにあるのは、他の鶏達の鳴き声、大量の糞尿の悪臭、苦痛そして強烈なストレス。

えさを食べて糞をするだけで、運動など動くことは一切なく、痛み、苦しみ、恐怖しかない日々。

こうして体重が増えるように仕向けられます。

一生懸命生き延びて、やっと自由になる時は屠殺される時。

ケージは牢獄以上の過酷なもので、鶏にとっては生き地獄といえます。

満員電車の状態が24時間365日続いたら、とても生きた心地がしないのは想像つくと思います。


こちらは豚の妊娠ストール

牛のつなぎ飼い



平成30年時点での、日本での畜産農家1戸あたりが飼育する畜産動物の数は、以下の通り。

鶏(採卵用) 6万3200羽
鶏(食肉用) 6万1400羽
豚       2055頭
乳用牛    84頭
肉用牛    52頭


1戸あたりの農家で飼育する数が増えるほど、放し飼いや平飼いは難しくなります。

ちなみに、肉用牛の放牧の実施割合は全体で13.3%。

出典:農林水産省 畜産統計調査 平成30年


飼育頭数の少ない牛ですら13%しか放牧されていないという事は、

それ以上に数が多い豚や鶏は、ほとんど放し飼いなどされていないと見ていいでしょう。

実際、資料には豚や鶏の放し飼いについての記載はありません。


この様な飼育方法をするのは、先に述べたとおり、経済的な原理、つまり、いかにして、

限られた空間で数多くの畜産動物を育て、効率よくお金儲けをするか、という発想に基づきます。


自然界の食物連鎖、弱肉強食とは程遠い、全く別物と言っても良いでしょう。

そして、動物達をこの様な状況に追い込んでいるのは、畜産農家だけの責任ではなく、

そういったお肉を購入し続ける私達消費者も含めた人間全体にあると言えます。


全ての動物には感情があります。

それは動物達を見ているとわかります。

子育てしている時、遊んでいる時、求愛している時、喧嘩している時、自分より強い相手に会った時。

人間が感じるような、愛情、楽しさ、悲しみ、怒り、恐怖。

こういった感情は間違いなく動物達も持っています。

私達人間は、同じ動物として、感情は理解できるはず。


以下の動画では鶏が砂浴びをしています。とても気持ち良さそうです。



バタリーケージから解放された鶏。立てない状態から回復。



こちらは牛が放牧され、自由に動き回る様子。(30秒あたりから)


欧州連合、アメリカの各州やニュージーランド、オーストラリアなど、すでに世界では

動物の福祉(アニマルウェルフェア)にも配慮して、

バタリーケージなどの使用を止めるのが当たり前になりつつあります。

日本はこの分野でも相当遅れています。


また、家畜たちが劣悪な環境におかれている事や、地球温暖化、森林破壊などの環境破壊に

加担したくないという意思から、ベジタリアンやヴィーガンなど、肉を食べないという選択をする人が

日本でも急速に増えており、それにあわせて各地でベジタリアンやヴィーガンに対応した飲食店も

次々と増えています。東京都庁の食堂にもベジタリアンに対応したメニューが用意されました。

*ヴィーガンとは、卵や乳製品も含めて動物性食材を一切取らない人の事。ベジタリアンよりも厳格。


ちなみにベジタリアン向けのメニューというのは、レタスやきゅうりの様な生野菜だけ、

というのを思い浮かべる人もいるかも知れませんが、

実際は、寿司、ラーメン、カレー、餃子、ハンバーガーなどからケーキの様なデザートに至るまで、

ほぼあらゆる料理が、肉や魚などの動物性食材をを使わずに植物性だけで作れます。


例えば、私の一押しは、ラビングハットのヴィーガンウナギ蒲焼重です。

見た目も、味も、食感も、本物のうな重と変わらないくらいおいしいです。

私は子供のころからウナギの蒲焼は好きでしたが、今はニホンウナギは絶滅危惧種になってしまい、

ウナギを食べようとは思いません。

しかし、ラビングハットのうな重は、ウナギを使っていないのに本物同然のおいしさで、大変お勧めです。

出典:LOVING HUT 


ベジの料理本も色々ありますが、あな吉さんのゆるベジはお勧めです。


日本の伝統文化、精進料理も動物性を一切使わずに、おいしい料理ができます。




●3、健康

強烈なストレスを伴う畜産動物の過密飼育は、病気の蔓延が最も怖いもので、

飼育者は予めえさに抗生物資を混ぜて与えます。

基本的に、抗生物質は病気になってから使うものです。健康な状態で使っていると

抗生物質が効かない耐性菌を生む危険があり、使用すべきではないと言われています。

しかし、人間は、鶏に与えられた抗生物質を、鶏を食べることによって

結果的に体内に取り入れている事になります。


また畜産動物に与えられているえさについても、どの様なえさが使われているのか不明です。

例えば、過去に狂牛病(BSE)の問題がありました。

飼育者が畜産動物に与える餌はできるだけお金をかけないようにして、

牛に対して、肉骨粉という、食肉に使えない臓器や骨などを粉砕したものを与えました。

要するに牛に共食いをさせていました。

それによって、異常プリオンが発生し、牛の脳に穴があいてしまいます。

クロイツフェルト・ヤコブ病ともいわれ人にも感染し、死に至らしめるという

恐ろしい病気が発生しました。

共食いをさせるというのは、倫理的にも問題があると思います。


また、現在の家畜の餌は遺伝子組換え作物が使われていると言われています。

遺伝子組換えされた大豆やとうもろこしなどの穀物を家畜に与えているという事は、

お肉を食べる事で、遺伝子組換え作物を食べているのと同じ事になります。


人間の体は食べ物から作られています。

たくさん食べれば体重が増えるし、量を減らせば体重は減ります。

どんな食べ物を体の中に取り入れるかによって、自分が健康であるかどうかが

変わってくると思います。


その他、畜産動物の問題については、家畜から発生するメタンガスによる地球温暖化促進や

穀物を作る際の水の収奪の問題、動物の福祉を無視した屠殺の仕方などもあります。

詳しくはアニマルライツセンターのサイトを是非ご覧ください。

アニマルライツセンター



さて、話を戻します。

夕飯が終わったら、村の青年団の人たちを交えて、自己紹介と交流会が開催されました。

自己紹介は、一人一人通訳を介したので結構時間がかかりました。

交流会ではお酒も回してくれたので少し飲みました。

若い青年団の人たちは宗教の戒律については、さほど厳格ではない様です。

お酒は世界共通ですね。(^-^)

こうして無事最初の夜は過ぎていきました。


その3へ続く




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