小さな植林隊





環境情報 2010年1月14日(木)






北極振動

1.概況
昨年の 12 月中旬以降、北半球中緯度帯のヨーロッパ、シベリア〜東アジア、北米に
たびたび寒気が南下し、1 か月間にわたって広い範囲で異常低温となった。
12 月中旬から 1 月上旬の 1 か月平均の気温をみると、
北半球の中緯度帯に広く異常低温の地域がみられた。

2.昨年 12 月中旬以降の寒波と大雪の経過
1週間ごとの経過を下表にまとめた。

この期間に見られた顕著な現象
期間 地域 顕著な現象
12月16日〜22日 ヨーロッパ〜ロシア西部 異常低温となった。ドイツのベルリンでは19、20日の日最低気温が−14℃を下回った(平年値:約−1℃)。
米国東部 大雪となり、米国のワシントンでは低気圧の影響もあり、19〜20日に積雪深が41cmとなった。
12月23日〜29日 西シベリア〜中央シベリア 異常低温となった。
12月30日〜
1月5日
ヨーロッパ
西シベリア〜
中国東部
米国
異常低温となった。
韓国のソウルでは低気圧の影響もあり、3〜4日に積雪深が26cmとなった。
1月6日〜
1月12日
ヨーロッパ
西シベリア〜
中国東部
米国
異常低温となった。
ノルウェーのオスロでは9日の日最低気温が−25℃を下回った(平年値:約−7℃)。
米国フロリダ州のオーランドでは9日の日最低気温が−4℃を下回った(平年値:約10℃)。


3.大気の状況12月中旬以降の北半球の大気の流れは、
北極振動 が大きく負の位相に振れており、これは 1979 年以降で最も顕著だった。
これに対応して北極域の寒気が中緯度に流れ込みやすい状況となっていた。

北極振動とは、北極域の寒気が強弱を繰り返す現象であり、
負の位相時には北極域の寒気が弱く、中緯度では低温になりやすい。
この場合、500hPa高度分布図では、平年と比べて北極域で高く、中緯度で低くなる。

平成22年1月13日気象庁報道発表資料より引用
http://www.jma.go.jp/jma/press/1001/13b/world20100113.html

<感想>


気圧の変化によって冷たい空気が流れてくる北極振動。
日本だけでなく、欧州や米国などでも寒波が来ています。

この気圧配置は普通2週間程度で変わるのが、
この冬は約1ヶ月間にわたって続いているそうです。

実際に大量の雪が降り積もっているところでは大変な思いをしていると思います。
先日、メーリングリストで雪下ろしのボランティアを募集しているというのが流れてきましたが
地方では高齢化が進み、雪下ろしをする若者の数が減っているため、
雪下ろしも大変な作業となっています。
寒さも都会より間違いなく厳しいはずです。

また別の視点で、様々な生き物の立場から見ると、人間以上に厳しいでしょう。
雪が積もれば移動が困難になる上に、食べ物がほとんどなくなります。
体力がない生き物は命を落とします。
生き残れるかどうか、まさに命がけの季節、それが生き物にとっての冬です。
そう考えると、大寒波の原因となる北極振動は、
生き物にとってはありがたくない現象でしょう。

また、さらに一歩引いた目で、地球全体という視点から見ると、
そのようにして命を失う生き物がいることで、
生物の個体数をちょうどいい数で保つという、
そんな役割も冬は果たしているのではないかと思います。

たまに起こる北極振動は個体数を大幅に減らしますが、
その分、生き残った生物は、その厳しい季節を乗り越えた後に来る春の暖かさや
様々な実りを十分得ることができるのでしょう。





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