小さな植林隊





雑記 平成23年(2011年)1月28日(金)





青森県六ヶ所村視察(再処理工場等)その3

ガラス固化体は縦に9段積みで貯蔵され、自然の空気の循環で30年〜50年間、冷やされます。

原子燃料サイクル施設を訪れた際、貯蔵された上の部分(上記写真の黄色いふたがある部屋)を
職員が普通に歩いていましたが、大丈夫なのか心配でした。

ここで空気の循環で、高レベル放射性廃棄物が入ったガラス固化体が冷やされますが、
核燃料サイクル施設の方の説明で驚いたことが2つありました。

1つ目は、温度変化です。
自然循環で入ってきた空気が、仮に0度で入ってきたとすると、
出るときの空気の温度は30度になっているということでした。

30℃も高い空気を排出し続けるというのは、
相当環境への影響があるのではないかと思います。

例えば、昨年(平成22年(2010年))の日本の夏の月平均気温の平年差は
7月が+1.42℃で第11位
8月は+2.25℃で第1位でした。

あれだけの猛暑でも月平均気温差はわずか2.25℃。
それが、ここの施設からは30℃も高温な空気が外へ流れ続けます。
どれだけの影響を生態系にもたらすのか。
大変心配です。


そもそも表面温度250℃のガラス固化体が大量にあるのだから、
実際は30℃の温度変化では収まらないのではないか、という気がします。


そして2つ目は、空気の放射化です。
放射化とは、放射線を受けると、受けた物質自体が、
放射線を発するようになる現象をいいます。

ガラス固化体は高レベル放射性廃棄物なので、常に放射線を発し続けますが、
その影響で、放射線を発するアルゴンが空気中に作られてしまいます。

そして、この空気循環をさせている場所では、
放射性物質を取り除くフィルターはつけていないと
原子燃料サイクル施設の方は言っていました。

つまり日常的に放射能が大気中に放出されていることになります。
大変なことなのではないかと思います。



高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターは、
ガラス固化体が約3000本入る現在の建物に
追加して約5000本入る建物を建設中です。

その後、敷地内に、約8000本入る建物を4つ増築し、
合計約4万本受け入れられるように計画しています。

4万本で大体40年持たせる計画です。
(1年で800t、約1000本のガラス固化体の収容です。)


ガラス固化体は地層処分という、地下300mのところに埋め立てようと国は考えています。

ガラス固化体は最終的には地中に埋め立てようと国は考えていますが、
そのような深いところに埋めてしまって後から何かあった場合どうなるのだろうかと
大変心配です。

上の写真のように、ステンレス(厚さ5mm)で覆われたガラス固化体の周りに、
オーバーパックといって鉄製の容器(厚さ約19cm)で覆い、
その周りを水を通しにくい粘土(厚さ70cm)で覆って埋め立てます。
ここまでが人工バリアと言っています。
そして埋設する場所が安定した母岩ということで、これを天然バリアと言っています。

5mmのステンレス、19cmの鉄の容器、70cmの粘土、そして埋め立て。
これで長い年月放射線を発し続ける、高レベル放射性廃棄物を管理できるのでしょうか?

そもそも鉄は酸化し、腐食します。
よく鉄筋コンクリートの内部の鉄がさびて、表面のコンクリートが剥がれ落ちているのを
テレビやニュースで見ますが、それと同じことが、起こりうるのではないでしょうか?
(これについては後日、北海道幌延市の地層処分実験場の報告でご案内します。)

また放射性物質が混ざったガラス固化体からは、常に高い温度と放射線が
放出され続けます。それによる、ガラスや鉄の劣化の影響については
言及がなく考慮されているのか不明です。
実際、原子炉格納容器の耐久性は、予想よりも劣化が早いと指摘されています。


高レベル放射性廃棄物には様々な放射性物質が入っています。
放射能の威力は長いもので45億年と、地球の誕生の歴史と同じくらいのものもあります。
人間が管理できるというのは、せいぜい50年程度と考えるべきです。


もう一つ大事なことは、人間の調査では地中深くの状態など把握しきれないということです。

覚えている方もたくさんおられると思いますが、2007年(平成19年)に
新潟県で中越沖地震がありました。
柏崎刈羽原発の下に活断層があったことがわかりました。
事前調査で活断層がないという前提で原発を建てたはずが、
実際には活断層が直下にあったわけです。

運が悪ければ、チェルノブイリのような悲惨な事故が起こっていたかもしれません。

人間の調査では自然の全てはわからない、そう考えるべきです。


高レベル放射性廃棄物は、半永久といっていいほど、放射線を出し続けます。
活断層のずれや地震の影響で事故が発生し、もれてしまった場合、
地下水と混じって放射能が広範囲に広がり、地中から湧き出てくる可能性も十分あります。
そうなったらもはや人間の力では回収、対処しきれないでしょう。

地層処分は大変危険で、次の世代以降の全ての生き物に
恐怖の遺産を残すことになります。



その4へ続く






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