小さな植林隊/竹林の会





環境情報 平成24年(2012年) 8月28日(火)






ニホンカワウソ(日本川獺)絶滅指定


大変残念な情報です。

ニホンカワウソの生息する姿が昭和54年(1979年)以降発見されておらず、
平成24年(2012年)8月28日に絶滅指定されました。(環境省発表)


<絶滅の原因 1>
明治、大正期に猟銃が高性能化、大衆普及し、
一部の人の特権であった狩猟が広く盛んになった事、
戦争の防寒具としての毛皮が保温性に優れていることで珍重された事、
ニホンカワウソの肝臓が病に効くと信じられた事から、乱獲され生息数が激減しました。


昭和3年(1928年)狩猟禁止となりましたが、時既に遅く絶滅へと向かいました。
昭和39年(1964年)天然記念物に指定。
昭和40年(1965年)特別天然記念物に指定。
昭和54年(1979年)最後の生息姿の確認。
平成24年(2012年)絶滅認定。

第2次世界大戦後、香川県から愛媛県にかけての沿岸部と、高知県南西部の沿岸に
わずかに生息数を残すのみとなりました。

しかし、その残り少なくなったニホンカワウソに追い討ちをかけたのが、
人間の活動によるものです。


<絶滅の原因 2>
●コンクリートの護岸工事等による河川の破壊。それに伴う、生息地、繁殖地の減少と、
縄張りの縮小によるニホンカワウソ同士の争い。
●農薬、洗剤、工場排水などの汚染水の垂れ流しによる、餌となる魚の減少や、
ニホンカワウソへの影響。
●生簀(いけす)の食害を防ぐ為の駆除等、漁業との軋轢。
●交通事故による死亡。
●密漁、保護対策の遅れ。


<考える事>

かつては礼文島、北海道、本州、四国、九州、壱岐島、対馬まで
日本中の陸地から島々に至るまで広く生息していたそうです。

そのニホンカワウソが、一匹も残らず絶滅してしまうとは本当に悲しいことです。

昭和3年に狩猟禁止をするも効を為さず、昭和54年が最後の目撃となりました。
絶滅は禁猟だけでは防ぐ事ができなかった。
これはつまり、生息地の保護が全くできていなかった事を意味しています。

日本の川岸を見ればわかりますが、ほとんどが護岸工事されて
コンクリートで覆われています。

川岸をコンクリートで覆われてしまうと、カワウソは川から岸にあがったり、
岸から川に入るなどの移動が困難になります。


日本は長らく無駄な道路工事を行ってきて、それが批判されてきましたが、
それと同じ事を川でも行っていたという事です。

確かに防災として、必要な護岸工事もあったかもしれません。
しかしどこにいってもコンクリだらけの川岸を見るに、
本当に全てが必要だったのかは疑問です。

ダムが古い計画を元に今でも作られ続けている状況を見れば自ずとわかるはず。
必要のないものを造り続ける悪しき政治は、過去も今も行われています。
その犠牲がニホンカワウソの絶滅という結果に現れていると思います。



また、川の水質汚染の影響も無視できません。
過去、日本では公害が社会問題になるほど、環境が汚染されていました。

人間に悪影響があるものは、他の生き物にも悪影響があって当然でしょう。
人間は動物の一種であり、他の動物と根本的には同じ。細胞の集まりです。
単に細胞の分化が違って姿、形、能力が違うだけです。

今の川の汚染状況は、公害が広く蔓延していた当時に比べれば、
少しはましになりましたが、それでも川の色は灰色で、まだまだ汚いです。
本来の川の水は無色透明。
その様になるまでは、如何に川の汚染を減らしていくかを常に考えて
行動することが大事です。



ニホンカワウソの絶滅という教訓から学ぶべき事

・人間にとって有用だからといって、無制限に乱獲すれば絶滅してしまう。

・人間にとって必要だからといって、無制限に生息地を奪い続ければ絶滅してしまう。


・人間にとって害のある環境汚染は、他の生き物にとっても害がある。


極めて当たり前の事です。
子供でもわかる事です。

自然の中には他の様々な生き物達が存在しているという認識を持ち、
必要のない自然破壊は行わない、どうしても必要ならば、
他の生き物にも配慮した方法をとらなければいけないという教訓を
忘れてはいけません。


この大切な教訓を今後にいかしていくことが、
ニホンカワウソを絶滅させたことへの、せめてもの人間の罪滅ぼしだという気がします。

そうでなければ、絶滅という犠牲を払ってまで教訓を示してくれた
ニホンカワウソが報われません。

種が絶滅したら二度と回復しません。


*絶滅指定後、愛媛県でニホンカワウソ目撃情報がいくつか寄せられたそうですが、
平成26年(2014年)6月24日、愛媛県へ電話で確認したところ、
県はその後発見する事はできていないという回答でした。






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