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小さな植林隊

木の知識 2007年12月20日(木)

木にとっての枝打ちとは


その目的は
1、無節(むぶし:節がない事)の木材を作るため。(節がないほうが木材としての価値が高い。)
2、林の中に光が入るようにして、下層植生の多様性を促進し、土壌流出を防止する。
4、明るい林にすることで人が入りやすくする。(里山など)
5、林床火が林冠火に拡大するのを防止。
6、病虫害の温床となる枯れ枝を除去し、木が枯れないようにする。

こんな感じです。
私達からすれば枝を落とすことで様々な効果がありきちんとする事がとても大事と言えます。
私もその通りだと思います。


しかし、枝を落とされる側の木にとってはどういうことなのでしょうか。

先日枝打ちに行ったときに、のこぎりで切断された部分を見て
あやかちゃんがこんなことを言っていました。

「なんか痛々しいね」

この気持ちはとても大事です。

木は硬くて動かないし、鳴いたりもしません。
当然枝を切られても痛いとは言いません。
しかし、木は植物であり、生きています。
枝を切られるということは木が傷つけられるということです。


木の皮は人間で言う皮膚に当たります。
人間の体は皮膚で覆われているため、簡単には細菌に感染しません。
これは木も同じで、木の皮が細菌から守ってくれています。
しかし皮がはがされると、細菌に感染しやすくなります。


そしてもう一つ。
木は土中から集めた水分や養分を辺材部を通して木全体に送っています。(図1)
図1  樹木の各部の構造と働き


しかし枝打ちがされると枝打ちに接する傷の周辺の辺材部は水分・養分が通らなくなります。(図2)
次の実験でそれが証明されています。
図2  樹幹の水分・養分の通り具合の比較


ひのきに赤い染料を吸わせ、水分・養分がどのように流れているかの実験です。

aは枝打ちする前に染料を吸わせたもの
bは枝打ちされた木に染料を吸わせたもの
cは比較的狭い範囲にある複数の枝を落としたものに染料を吸わせたもの

aとbを比べてわかるように、赤く染まっている部分がbの方が狭くなっています。
つまり、枝打ちをすることで水分・養分が通る範囲が狭くなるということです。

そしてbとcを比べるとさらにcの方が赤く染まった部分が減っています。
これはなぜかというと、枝打ちをすることで水分・養分が通る範囲が狭くなりますが
この水分・養分が通らない部分というのは、枝打ちの傷を中心として、樹幹上下方向に、
半紡錘型に広がり、枝打ちの傷の長さの約9倍の長さに達します。
その為、比較的狭い範囲に密生する複数の太い枝を枝打ちした場合、
樹幹辺材部における水分・養分の通る部分は著しく減少するためです。


あやかちゃんが言っていた「痛々しい」というのはまさにその通りで、
木にとっては枝打ちは体に傷をつけられると言うことなのです。


ちなみに一般的に枝打ちの一度にできる範囲は通常2〜3mが限界とされています。
それは上記のように、枝打ちによって水分・養分が通らない部分ができてしまうためです。
しかし、昨今耳にするように、今の山は放置されて荒れ放題で、
枝打ちの適齢期を過ぎた時に一度に強度の枝打ちを行う傾向があります。
枝打ちの適齢期を過ぎたひのきに打ち上げ高2〜3mを超える強度の枝打ちを
行うと枯死することがあることが経験的に知られています。

1991年夏、奈良県で干ばつが記録されました。
そしてこの年の9〜10月にかけて集団で枯死するひのき林が確認されました。(図3)
図3  強度の枝打ちと干ばつにより集団枯死したひのき林

集団枯死したこれらのひのき林は全て1990年春、または1991年春に、
枝打ちの適齢期を過ぎ、枝が太くなったひのきに4mを超える強度の
枝打ちをおこなった林でした。
集団枯死した林で枝打ち強度と枯死率の関係を調査したところ
枝打ち強度が高くなるに従い枯死する確立が高くなっていることがわかりました。

ただの干ばつだけではここまで枯死することはなかったのですが、
強度枝打ちによって水分・養分がほとんど通らない状態で、
干ばつになってしまったので集団で枯死してしまったわけです。

この様に、枝打ちをするということは木自体を傷つけていることで
やりすぎれば木が枯れてしまう危険性が高まります。
たかが枝、されど枝です。

枝打ち作業をするときは丁寧に、傷つけているんだという意識をもってやりましょう。
そしていないとは思いますが、山に入ったときは無駄に枝を折ったりしないようにしましょう。(^-^)

(参考・写真提供:奈良県森林技術センターさん 許可いただき有難うございます。)

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