小さな植林隊


活動報告 2018年(平成30年) 8月30日(木)


インドネシア ボルネオ島 植林 アブラヤシプランテーション視察 プラスチックごみの状況 その7





いよいよハラパン村最後の朝。

まだやっていなかった川でのマンディに挑戦しようと思っていたのですが、この日は川面を良く見ると

なにやら油の様なものが流れて来ていました。しばらく様子を見ていたのですが、いつまで経っても

なくなる気配がありませんでしたので、やめておきました。川での洗濯もやめました。


7時前、小学生のAkbarが学校に行く前に、お別れの記念写真です。


朝食。ピサンゴレン(バナナ揚げ)のチョコシロップがけとおまんじゅうの様な物。

インドネシアではこのおまんじゅうは有名だそうです。

食感は今川焼きの様な感じでおいしかったです。


出発まで時間があったので、気になっていた家の周りのごみ拾いを始めたところ、

ご主人のRasyid(ラシッド)さんも一緒に手伝ってくれました。

ちょうど朝の様子を見回りに来ていたイッシーさんが写真を撮ってくれました。

風呂敷の雨対策用として日本から袋(ゴミ袋20リットル)を2枚持ってきていたのですが、

無事使わずに済んだので、それを使いました。

家の周辺は、ごみが多数落ちていたため、すぐに2枚ともごみで一杯になりましたが、

Rasyidさんが更に一枚、大きな土嚢袋を持ってきてくれたので、それも使いました。

私が庭の道路側、Rasyidさんが庭の奥の方をやりました。


Rasyidが引き返して来て終わったという事でしたので、ごみ拾いは終了しました。

しかし後ほど家の中から、一番気になっていた鶏達がいる場所を見たら、そこは手付かずでごみだらけ

のまま。終わって無いじゃん、Rasyid!と思ったのですが、もう時間もあまりないので諦めました。

一番やりたかった場所ができず悔しかったです。鶏達、ごめんよ。


ごちらの女性たちは、最近取り組み始めたごみ拾い活動をしている様子。

NPOが雇用し、仕事となっているそうです。


ごみ拾いでちょっと汗をかいたので、マンディ。それと炊事場で洗濯をしました。

そして荷物をまとめて、最後のお別れ。

予め作っておいたお別れの挨拶を、ホストのRasyidとMiahに読み伝えました。

家を出るのが少し遅れてしまったので、Rasyidがバイクの後ろに乗せてくれました。

最後、みんなで集合写真。

ここでハラパン村とはお別れです。

あっという間の5日間の滞在でした。本当に楽しかったです。



今回、ボルネオ島のエコツアーに参加した目的は、

1、日本で紙をたくさん使ってきたので、その穴埋めとして、木を植える事。

2、熱帯林が減少している原因として、アブラヤシプランテーションの拡大がある。その状況を見る事。

3、海洋プラスチックごみ世界第2位の排出国となってしまっているインドネシアのごみの状況を見る事。


この3つが主な目的でした。目的の達成具合はどうだったかというと、


1、植林はできたけれども、本数としてはわずかだったので、もっと本格的に森の回復に関わりたかった、

という感じです。私が使ってきた紙の分の木を植えられたという感じはしていないので、

いつかまた行きたいと思います。


2、アブラヤシプランテーションの様子はしっかり見ることができたので目的は達成。

森林火災跡地の高木が一切ない草地だけの平原と、大地に傷つけられた排水路が

忘れられません。

日本で使われている植物油の原料、パーム油と熱帯林の破壊が密接に関係している

事を決して忘れません。食品の選択や油の使い方に今後留意し、使用を減らしていきます。

もし本格的にこの問題を解決するならば、欧州の様に、パーム油の法的規制が必要です。

一人一人の消費行動が変わる事も重要ですが、大量に使う食品企業側が変わらないと根本的な

解決に結びつきません。その為には、法律で大きな流れを変える必要があります。


3、ごみの状況も意識してみていたので、大体状況はわかりました。日本とて、他の国の事をどうこう

言える程、うまく解決できている訳ではありませんが、様々な生き物達が、プラスチックごみをえさと

間違えて食べてしまっている状況は放置してはいけません。村人達がごみ拾いの活動を始めている事で、

希望が少しだけ持てましたが、ボルネオ島に着いてから村までの道端や、森の中にまで、

至るところでごみが捨てられていたので、インドネシアの国として、法的、社会的なごみ削減対策を

していく必要があると感じました。その為には、先進国の技術や知識の提供もなされるべきと思います。


また、このツアーで実施した植林では、苗木を入れる容器がビニールで、植える際に破いて、

そのごみを、植えた場所の目印として、枝にひっかけるという事がされたのですが、

これは森の中にプラスチックごみを捨てている様なもので、なくしていく必要があると思いました。

私は日本で色々植林作業に参加した事がありますが、ポット苗から苗木を取り出した後、

そのカップはきちんと回収されていました。植えた場所に放置した事は一度もありませんでした。

ウータン事務局にその事を伝えたところ、作業の手間が増えるのは難しいかもしれないという

残念なお返事をいただきました。

森を守るのに植林はするけど、ごみ問題を無視するのでは環境問題の解決とはなりませんので

改善されることを期待します。


日本でも、私の家の近くの至る所にごみが落ちているのでごみ拾いをしていますが、結局この問題は、

捨てる人が止めない限り終わらない話であり、さらに言えば、作り出している企業が包装のあり方を変えて、

全体的に削減していかない限り、根本的な解決となりません。

法律による規制や、税のかけ方を変える必要があります。

インドネシアも日本も状況は大して変わりません。

解決の方法はそんなに難しい事ではないはずですが、これまでの習慣や、利益関係などの点から

解決策が進められていないように感じます。

やはり政治家や役人たちに働きかけていく事が必要です。


それから、旅の目的以外に得られたものとしては次の通り。

1、ボルネオの熱帯林や川などの自然を感じる事ができた。

2、現地の人たちや日本人参加者との交流ができた。

3、おいしい料理を食べる事ができた。



熱帯林の中を上半身裸で歩いたのも良い経験ですし、2階建ての船に乗って川を移動するのも

とても気持ちよかったです。船で移動しながらの食事は最高でした。

また、現地の人たちは気さくに声をかけてくれて滞在中は楽しい時間が過ごせました。

少しのお酒をみんなで分けて飲んだのも良い思い出です。

日本からの参加者も環境分野に関わってこられた方も多く、色々お話できて楽しかったです。

食べ物は、ロンボク(唐辛子)で1日お腹を壊す事態になってしまいましたが、それも良い思い出。

料理はどれもおいしいかったです。


出発前、1つ懸念だったのがマラリアですが、旅行中、おそらく10回くらいは蚊に刺されていましたが、

結果としてマラリアやその他のウィルス性の発熱はありませんでした。


桃色の風呂敷。

これが今回の全ての持ち物です。みんなから少ないと驚かれていました。

ツアーは飛行機の移動を入れて1週間。

私の場合は、関東から関西の電車移動があり、大阪での前泊、後泊も含めると9日間分の荷物です。

手洗い洗濯する事が前提だったので、衣類はできるだけ減らしました。

スキル「手洗い洗濯」を習得しておくと、どこでも応用できるので便利ですよ。(^-^)v


ちなみに旅行中にもらったペットボトルの容器など全てのごみも風呂敷に入れて持ち帰りました。

空港でお土産を買ったら風呂敷はパンパンでした。


風呂敷は布なので、様々に形を変えられます。

森の中を歩くときは、両手を自由にする為に、腰巻にしてそこに荷物を入れていました。

お別れの儀式の剣舞の時は、下半身の衣装代わりに使いました。

その他の移動時は、肩下げ式にしていましたが、リュック型としても使えます。

日本の伝統文化はすごいと思います。

スキル「風呂敷」も習得しておくといいでしょう。



森と共に暮らす人たち。

身近な大切な森がどんどん破壊されていくのはどういう気持ちでしょうか。

考えると心が痛みます。


しかし、勇気を持って立ち上がり、森の再生のために活動をしている青年団は1つの希望です。

この先、活動の幅がより広がって、消失した森が再生されていくことを期待しています。



3日目の夜に青年団に向けて読んだ手紙の内容を書きます。


Adakah di antara anda semua yang berpikir untuk menjadi presiden di masa depan?

Saya sangat menghargai kegiatan anda sekalian.

Karena, demi melakukan kegiatan ini, anda semua mengorbankan waktu yang berharga untuk masyarakat secara keseluruhan dan untuk berbagai makhluk hidup di bumi daripada kepentingan individual.

Agar hasil dari kegiatan ini menjadi lebih efektif, kegiatan sukarela seperti ini memang diperlukan. Namun ketetapan pemerintah jugalah penting.

Seperti pembangunan cagar alam dan konservasi keanekaragamab hayati. Dengan kata lain, dengan menjadi politikus, masalah lingkungan dapat diselesaikan.

Selama sumber dari masalah ini tidak diatasi, kerusakan alam akan berkembang seiring dengan berjalannya waktu.

Misalkan dalam masalah deforestasi, meskipun kita melakukan reboisasi di lokasi penebangan, selama penebangan tidak dihentikan, reboisasi akan menjadi sia-sia.

Jika orang yang peduli debgan alam dapat menjadi politikus, penetapan hukum untuk perlindungan alam dan makhluk hidup akan lebih memungkinkan.

Karena itu, jika dari anda sekalian ada yang ingin menjadi politikus, mungkin satu atau dua orang, atau bahkan lebih dari itu, saya berharap perlindungan alam dan makhluk hidup dapat direalisasikan.


(日本語訳)
皆さんの中で、将来大統領になろうと思っている人はいますか?

私は皆さんの活動に敬意を表します。

自らの利益よりも、社会全体、そして地球にすむ様々な生き物の為に自分達の時間を使っている事は

とても尊い事です。

今行っている活動の結果をより効果的なものにするためには、ボランティア活動からさらに進んで

政治に結びつける必要があります。

それは法律による、自然保護区の設定だったり、生物多様性の保全という事です。

法的な自然保護区の設定ができる立場の人、つまり政治家になる事が重要です。

環境問題は、その問題の発生源となる元の部分を改善しない限り、

時間の経過と共に問題は拡大していきます。

例えば森林減少の問題では、伐採跡地に新たに植林して回復させる事と同時に、

伐採を止める様にしないといつまで経っても根本的な解決となりません。

森の大切さを知っている人が、政治家になる事で、森や様々な生き物を守るための法律を

定める事ができ、より本格的な森林の保護が可能となります。

是非皆さんの中から、一人二人と言わず、多くの人が議員となって、

森や様々な生物の法的な保護が実現する事を私は期待します。

(日本語訳終わり)




環境問題は政治問題。

環境を守るには、法律、条令、税制など、国の仕組みを変えていく必要があります。


是非、政治から目を背けないでほしいと思います。

選挙の時には、立候補者が何を語り、どんな考えで

どういう活動をしてきたのかを見極めて投票してください。


ちょっと手間ですが、ネットを使えば大概はわかります。

最初はわからなくてもそのうちわかる様になります。

政党から出ていれば、政党の特色もわかると、見分けが簡単にできるようになります。

無所属の候補者の中にもいい人がいるかもしれません。


2019年の日本の参議院選挙は過去2番目の低い投票率、48.8%でした。

国民の半分以上が投票に行っていません。

市議会議員選挙などの地方選挙となると、投票率は30%台など、もっと低くなります。


一方、環境先進国といわれるスウェーデンでは、国政選挙の投票率は85%。

国民が政治を監視し、駄目な議員は選挙で落とし、まともな候補者を当選させる。

これができれば、環境や人権に配慮した国づくりができます。

税金が必要なところにきちんと使われる様になります。

税率は25%と高い事で知られていますが、国民は政府を信用しており納得しています。



あなたが望む未来は、一人一人の投票行動にかかっています。

未来は変えられる。



気候変動問題やプラスチックごみ問題など世界規模の環境問題が山積しています。

持続可能性を無視した経済はこの先通用しません。

一刻も早く、日本も欧州の様に環境対策をしていく必要があります。



あなたはこれからどんな環境対策をしていきますか?


以上でボルネオ島植林ツアーの報告は終わりです。

長文になりましたが、最後まで読んでいただき有難うございました。


環境のお話の目次

8月25日  1 日本の木材自給率
 2 PM2.5
 3 土壌ができるまで
 4 日本の各地で問題となっているメガソーラー
8月26日  5 車社会を考える
 6 お肉と環境のつながり、畜産動物の実情
8月27日  7 ダイオキシン
 8 除草剤と遺伝子組換え食品
 9 海洋プラスチック マイクロプラスチック
10 インドネシアの森林火災・泥炭火災
8月27日 11 「物」を通して森は2度破壊される
12 水銀と水俣病とごみ焼却場と火力発電
13 EU(欧州連合)の森林保護の為のパーム油規制
14 ヒートアイランド現象(都市型気温上昇)
8月28日 15 石鹸と合成洗剤の違い
16 香害
17 優れた再生能力を持つ日本の竹
8月29日 18 パーム油とアブラヤシプランテーション




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