小さな植林隊


活動報告 2018年(平成30年) 8月28日(木)


インドネシア ボルネオ島 植林 アブラヤシプランテーション視察 プラスチックごみの状況 その5





前日のロンボク(唐辛子)によって、夜中の1時、3時とトイレに通いました。

そして毎朝4時30分くらいになると、家の鶏が、コケッコッコーと元気に鳴き出し、

5時ごろ、アブラヤシプランテーションに仕事に行く人達がバイクに乗り家の前の道路を次々と走っていき、

5時30分くらいにドボンっと、子供達が川に飛び込む音が聞こえてきます。

家の窓も木で出来ており、機密性はあまりなく、外の音は良く聞こえます。

なので目覚ましがなくても寝坊しません。(笑)


6時前、外の様子が落ち着いたところで、川にいきました。
隣ではまだ子供が川に入っていました。


たらいを借りて、日本から持ってきた無添加石鹸で洗います。


川で洗濯。

昔話の「ももたろう」でおばあさんは川で洗濯をしますが、私は川で洗濯したのは始めての経験でした。

日本ではなかなか出来ないですし、日本にいたらこんなに茶色く濁った川では

まず洗濯しようという気にはなれません。

でも洗えば汚れはちゃんと落ちるし、白いシャツも茶色に染まる事はなく、きれいになりました。


今回の旅では、荷物は風呂敷に入る分だけで、衣類は必要最低限(上着4着、ズボン2着、

短パン1着、下着3日分)しか持たなかったので、現地で洗濯する事が前提でした。

私は日本での普段の生活でも、洗濯機を使わず、石鹸で手洗いしているのでいつも通り。(笑)

インドネシアの川での洗濯は、良い経験でした。(^-^)



環境のお話 15 :石鹸と合成洗剤の違い


●石鹸と合成洗剤の違い

石鹸は一般の洗濯用洗剤と違って、合成界面活性剤が入っていない為、分解されやすく、

川の汚染は軽度です。また、石鹸でも普通の石鹸と無添加石鹸があり、無添加石鹸では、防腐剤、

安定剤、香料、着色料なども含まれておらず、より安心、安全な石鹸です。


カイワレによる毒性実験では、石鹸を水で溶かして与えた方のカイワレは元気に育ち、

合成洗剤の方はその毒性で枯れてしまいます。




さらに下の動画は、アジがいる水槽に合成界面活性剤と石鹸を入れる実験です。

苦しんだ後、3分ほどで、3匹とも死んでしまいます。合成界面活性剤の毒性の強さがよくわかります。

ちょっと残酷ですが、是非見てください。

知らずに使い続けているよりも、事実を知ってみんなが使用をやめれば、海や川の汚染は減り、

生物が無駄に命を落とすことはなくなります。

画像をクリックすると映像が見れます。


石鹸については、以下に詳しく書かれています。

シャボン玉石けん

蛍光増白剤について

合成洗剤が生き物にとって有害であるのは間違いありません。

ただ、無添加石鹸は安全ではありますが、有機物であるため、大量に川に流れれば、

富栄養化につながり、プランクトンの大発生を招く可能性があるという意味で、

川にいくらでも流して良いとは言えません。

原材料は、牛脂、ヤシ油、パーム油、オリーブ油、馬油、米油、椿油など、

元は自然界の1つの貴重な資源です。

必要な分だけ使うという事も忘れてはいけません。

石鹸を使わずに済むものは水洗いだけにするというのも1つの方法です。


また、最近は洗濯マグちゃんと言う、マグネシウムを水につけるとアルカリ水になる力を使って、

汚れと臭いを分解するという商品もあります。


以前私は、泡立ちが良いほど汚れを落とすと思い込んでいました。なぜかと言うと、洗剤を作っている

企業が流していたテレビコマーシャルや、商品に書かれていた宣伝によって刷り込まれたからですが、

今では石鹸を使って手洗いで洗濯し、色々試していると、泡立ちは関係ないとわかりました。


皮脂などの汚れ落としに必要なのはアルカリ性の成分で、

アルカリの反応によって汚れが落ちるので、無駄に泡立てる必要はありません。



例えば、顔を触ると皮脂で少しべとつきますが、その手を水で濡らしてから、

石鹸に軽く触り、水で流せば皮脂は落ちますよね。

泡立ちは関係ない事がすぐわかります。しかもすぐに落ちます。

油で汚れた食器を触ってから石鹸を触ってみてもいいでしょう。

是非試してみてください。


また、昔の日本の洗濯では、灰(アルカリ性)で洗濯をしていました。

灰で洗ったところで、泡は全く立ちません。昔の人は、灰のアルカリ性を利用していたわけです。

重曹も同じです。泡は汚れ落としに必須ではない事がわかります。


この原理から考えると、石鹸や重曹でアルカリ水を作りそれに一晩つけてから、

手もみを軽くして、あとはすすぎをきちんとすれば、皮脂の汚れは落ちます。

少し強い油汚れの場合のみ、石鹸を直接衣類につけてから少しこすればそれで十分です。


汚れが落ちているかどうかの判別は、臭いでわかります。

洗濯をした後、生臭い臭いというのは汚れが完全に落ちきっていない、つまり、そこに雑菌が繁殖して

いることを意味します。

手洗いは汚れをしっかり落とせるので、洗濯用合成洗剤に入っている様な強い香料も必要ありません。


また、以前、国内で旅行した際、お風呂に合成シャンプーしかなかったので、それを使うと、

すすだ後もぬめぬめした感触がいつまでも手に残り、とても気持ち悪かったのを覚えています。

かなりしつこく洗い流して、やっと落ちたという感じでした。

手肌の荒れを防ぐという意味でも、自然由来の石鹸をお勧めします。





環境のお話 16 :香害


今、大きな社会問題となっているのが香害(こうがい)と呼ばれる、

人工香料による健康被害と環境汚染というものがあります。

柔軟剤、消臭除菌スプレー、制汗剤、芳香剤、合成洗剤などの香りを伴う製品によって、

目やのどの痛み、せき、頭痛、めまい、吐き気、アレルギー症状などを誘発します。

香料の成分の中には、イソシアネートと呼ばれる発がん性物質や、

アレルギー性、神経毒性物質などもあり、

消臭除菌剤は、常在菌を殺して免疫力を下げるほか、呼吸器疾患の原因にもなります。



人工香料を包んでいるのが、マイクロカプセル。

メラミンやウレタン樹脂など、プラスチックでできており、

世界で大問題となっているマイクロプラスチック問題とも重なり、川、海、空、大地を汚染します。

大きさは2.5マイクロメートル程度、いわゆるPM2.5程度の超微粒子で、

肺の中までマイクロプラスチックが入ってきて、肺から血液、そして他の臓器へと移動します。




日本消費者連盟が、2019年に約9300人にアンケートを実施しました。

その中で聞こえてきた、被害者の声。

その報告会が2020年に衆議院会館で行われたのが以下の動画です。



上記の講演で使われていた資料は日本消費者連盟のサイトからダウンロードできます。

日本消費者連盟


強い臭いによって学校の教室内がひどく臭くて学校に通えなくなったり

通勤時の電車の中や会社が臭くて通勤できなくなるなど

日常的場面で被害が発生しており、回避する事ができない苦悩が伝えられています。



人工香料は化学物質であり、元々化学物質過敏症を抱えている人にとっては

本当につらい状況となっています。

またこれまで普通だった人が、ある日突然、化学物質に体が反応してしまうようになるなど、

新たな化学物質過敏症を発症する原因にもなっています。



こういった問題を平気で引き起こしている企業の製品を調べて一覧表を作ってくれた方から

資料をいただきましたのでこちらに載せます。

上記画像をクリックするとダウンロードできます。


人様の健康を害してまで儲けよう、環境汚染など我関せずと無視して儲けようとする姿勢には

全く賛同できません。

金の亡者、ブラック企業といわれても仕方ないでしょう。

自らの企業活動により、結果的に信用を失っていっているという事にはやく気づいて、

一刻も早く、問題解決される事を期待します。


対策が遅れるほどに、消費者は離れていきます。




洗濯が終わったら朝食です。
ミーゴレン(焼きそば)、きゅうりとトマト、バナナを揚げたピサンゴレン。おしかった!


7時30分、船着場に集合し、小型の船に乗ります。
目的地はすぐ目の前の対岸です。


降りた後、残りの人たちを乗せる為、船は再び戻っていきます。


全員が渡り終わり、歩いていきます。
こちらはパサブミ(トンカットアリ)。根を細かく切ってマラリア対策に使うそうです。


こちらはインドネシアの竹。日本の竹と違って、株立ち状になり、横に広がっていきません。




環境のお話 17 :優れた再生能力を持つ日本の竹


日本の竹は地下茎でつながり、横にどんどん広がっていきます。その成長は速く、約2〜3ヶ月で、

高さ15m(モウソウチクの場合)くらいまで伸びます。
その為、普通の樹木はあっという間に先を越され、

樹高が低い木は太陽の光が当たらなくなり、成長が阻害されるか、枯れてしまいます。


昔は、食用としての筍や、材としての利用があり、きちんと管理されていましたが、

中国からの安い筍の輸入や、材としての利用もほとんどなくなり、放置された竹林が、

生息範囲を拡大し、里山の樹木を枯らせている問題があります。

山の木が枯れると、土壌を抑えている木の根の力が弱くなり、大雨で土砂崩れや土石流などの原因

にもなります。


本来の竹は、その再生能力から、優れた再生可能資源と言えるのですが、今はその力を

うまく使いこなせていないという状況です。例えば、鉄やアルミ、プラスチックなど、地下資源を使って

作られるものの代わりに、竹が使われれば、その分地下資源の消費は抑えられ、遠くの自然を守ること

ができるようになります。


竹は軽くて丈夫、加工がしやすいなど、便利であったため、かつての日本では

様々な用途で使われていました。漢字に竹冠のつく字を調べると、その名残を感じます。

木と同様に、竹についても、日本はあらためて使い方を見直す必要があります。


竹については竹林の会として色々活動してきました。

活動報告(2011年〜2016年)をご覧下さい。

活動報告



今回も森の中に入っていきます。



ここで青年団からのお話。

2015年の森林火災時は、消火の為の水もなく、棒で叩いて消火活動を行ったそうです。

多くの人が消火の手伝いに来てくれたが、結局消火できたのは雨でした。

熱帯林の泥炭に引火した火は消火するがの難しいので、延焼を防ぐ為、予め木を切って防火帯を作りました。

ヘリコプターから水をかける際、プロペラの風によって延焼を引き起こしました。

森林は40万ヘクタールで、火災地12万ヘクタール。

そのうち、現在は5ヘクタールを植林しています。

植林の密度としては、1ヘクタール当たり1000本、計5000本の在来種を植えているそうです。

国立公園の管理者から、公園内はどんどん植えて欲しいと言われています。


火災で焼失した場所です。やはり高木がありません。


さらに進んでいきます。


再び青年団のお話。

苗木を植えた後、1年間は3ヶ月ごとに調査を実施、それには村人10〜25人が参加しているそうです。

5000本のうち70%は生き残るよう、目標としています。

苗は、森の中で実生で出てきているものを土から抜いて、まとめて管理しています。

森から取ってきた苗は最低2ヶ月間、世話をしています。

苗は、根の一部、葉の一部を切り落とします。葉は乾季に自然に落ちるので問題ないそうです。

日光の当たりすぎで苗が枯れることが多いそうです。

アブラヤシプランテーションでの収入は1日109000ルピア(日本円で約1000円)との事でした。


その後、青年団が苗木を持ってきてくれました。1人2つの苗。私は追加で5本渡されました。




土は表面が白っぽくなっています。

触った感触としては、砂に近い感じで、腐食層に乏しい、あまり栄養度は高くない感じがしました。

植える際に、近くに落ちていた葉っぱや枝を一緒に入れ、土を戻した後は、乾燥を防ぐため

葉っぱや枝を上に被せました。風が吹けば飛んでしまいそうでしたが、やらないよりはましと思って。

昔、足尾で宮脇昭先生に教わった植え方を思い出しました。


終了後、記念撮影。

植えた本数が少なかったので、森林再生のお手伝いというよりは、エコツアーに参加した記念としての

植林、という感じでした。私はもっとがんがん植えたかったので、ちょっと物足りず。

ただ、準備等、青年団も色々大変だったと思います。国も違い、言葉も通じず、年代もばらばらで、

そういった中、参加者にどこまで作業をさせていいのかわからない、という思いもあったかもしれません。


帰り道。

拾った大きな葉を両手で持って羽ばたくと、鳥になった感じです。

日本のホオ(朴)の葉っぱに似て、葉に鋸歯(きょし:葉っぱの周辺のぎざざざ)はなく

全縁(ぜんえん:葉の周囲がつるつる)でしたが、大きさはこちらのホオが大きい。


なぜか、上半身裸になっている青年団。笑

私と大学生のミツ君も上着を脱ぐように言われ、せっかくなので裸族の仲間入りをしました。笑


森を出る間際、雨が降り始め、森を出たところで本降りとなりました。

丁度木を植えた後だったので恵みの雨です。

みんなは小屋へ退避、私とミツは青年団たちと東屋で雨宿り。果実を食べたりゲームをしていました。


雨にあたって少し体が冷えました。

まだ完全回復していないお腹がまたゆるみ、トイレへ。現地の人たちが使う様な、左手で拭いて、浴槽に

たまった雨水を桶で汲み流すタイプのトイレでした。服を着たままやる方法がよくわからなかったので、

全部脱いでそのままマンディ(全身水浴び)しました。中々トイレから出てこなかったので心配されました。


雨が上がって村に戻り、みんなでお昼ご飯。
画面左端のピンクのジュースがとってもおいしかったです。

食事は食べたいところでしたが、食べるとまたトイレに行きたくなるので遠慮しました。


その後は、雨で道がぬかるんでしまった為、予定を変更して青年団のお話へ。

以前は村人の50%が違法伐採に関わっていたそうです。

そして現在、アブラヤシプランテーションには村人の10%が関わっているとの事。

2003年、農業ができなくなる人が増えました。

2010年 企業に対して抗議活動。3回目の抗議で企業が補償に応じると返答してきたが、村の要人のみ。

しかも要人をジャカルタまで連れて行って話が行われ、その要人達は戻ってきても10日以上、話の内容

を明かさなかった。そこで信頼関係がなくなった。

2014年、企業が重機を運び開発する直前に、一軒ごとに家を回って開発の危険性を伝えたが効果は

なかった。

プランテーションでの仕事は年を経るごとにきつくなっていった。木が高くなり、実を採るのが大変になり、

また除草剤による汚染などもある。それでも多くの人はその職業を選択したが、今の青年団の仲間は

勇気を持ってその職をやめた。活動休止中だった青年団を復活させ、活動の基盤とした。

この先も、エコツアーの実施を継続していきたい。村行政からはまだ完全に信用されていない。

プランテーション企業は収益の分配や、農地の譲渡について、当初に言っていた約束を守っていない。

しかし、村の人達は知識が足りないので契約書があったとしても理解できないし、おそらく書類はない。


お話を聞いて、プランテーションによる地域の分断、自然破壊、労働条件など、様々な問題を抱えて

いると感じました。


青年団からのお話が終わり、各自、一旦帰宅。
夕飯。野菜炒め2種と、野菜スープ、スイカ。どれもおいしかったですが、特に野菜スープは絶品でした。


食事後、20時からまた自主参加の宴があるとの事で、私は参加しました。

青年団、日本人合わせて13〜15人くらい、お酒を飲みながらゲーム等で交流しました。


この時、日本で作成してきた手紙を青年団に向かって読みました。私からのメッセージ。

ちなみにこの手紙は、全文インドネシア語です。最初に日本文をグーグルトランスレーションで翻訳、

それをインドネシア語の練習をするためにお願いしていたインドネシア人の学生さんに修正してもらい、

作成しました。


その6へ続く




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