小さな植林隊





環境情報 2007年9月23日(日)






欧州委、加盟国の本マグロ漁を年内禁止


欧州委員会は19日、大西洋東部および地中海における本マグロ(クロマグロ)漁の
年内禁止を決定した。同海域に生息する本マグロは乱獲され、資源が減少している。

これはEU加盟各国からの報告により、
EU全体の2007年の本マグロ割当漁獲量1万6779.5トン分を
捕獲しきったことが判明したことを受けた措置。

同委員会は声明で「(今年のこれまでの漁獲量を受け)
EU全体で本マグロ漁を禁止しなければならない」と発表した。

今回の捕獲禁止の影響を受ける国はキプロス、ギリシャ、マルタ、ポルトガル、
スペインで、そのほかイタリアとフランスはすでに7月と8月に
それぞれ本マグロ漁を停止している。


同委員会はまた、EU全体の漁獲高をリアルタイムで監視するために必要な
捕獲データ報告に不手際があった点を認めた。
今後そうした欠陥に対処し、翌年までには、
同様の問題発生時の解決策を用意するとしている。

ジョー・ボルジ欧州委員会漁業・海事担当委員は
「すでに枯渇の危機にある資源を乱獲するという問題、
さらに関係する加盟各国同士の割り当ての両方に問題があったのは明らか。
委員会の責務として、これらの問題に対処するために
あらゆる緊急措置を実行する」と述べた。

EUに対する本マグロの割当漁獲量は、1月に東京で催された
「大西洋まぐろ類保存国際委員会」で決定されたもので、
同委員会の指定漁法による操業に合意した関係各国間で振り分けられた。

今年の漁獲高が割当量に満たない国は、その分を翌年以降に持ち越すことができる。
同様の仕組みはEU内でも個別に存在する。
ICCATでは捕獲量を超えた国に罰則を課す規定がある。


(2007年9月19日 AFPBB NEWSより 一部要約)
<感想>


本マグロ漁の禁止。

EUは、本マグロは保護しなければ絶滅になると認識し
厳しい措置をとっています。これはとても重要です。


通常、個体数が減少しても時間とともにその数は回復します。
しかし、あまりに減少しすぎてしまうと、個体数は回復する事ができなくなります。


覚えているでしょうか、
2003年に日本産のトキが絶滅した事を。

1952年(昭和27年)に佐渡における生息数が24羽と激減していたため、
特別天然記念物に指定されましたが、生息地の開発制限はなされず、
1958年(昭和33年)には9羽(佐渡に6羽、能登に3羽)にまで減少。
1960年(昭和35年)に国際保護鳥に指定。
1965年(昭和40年)に保護された幼鳥のうち、1羽が翌年死亡しました。
解剖した結果体内から有機水銀が大量に発見されました。

1971年(昭和46年)には佐渡以外では絶滅。
1981年(昭和56年)に佐渡に残された最後の5羽を捕獲し人工飼育へ。
繁殖が試みられたが全て失敗。

最後に残されたトキは2003年(平成15年)に36歳で死亡。。。
日本産のトキは絶滅しました。



肉や羽をとる目的で人間によるトキの乱獲が続き、
1925年(大正14年)頃にはすでに絶滅したとされていました。
この時点でトキは自然増殖ができないほどに減少していました。

その後、人間が保護するようになりましたが、結局徐々に数を減らしていき、最後は絶滅。
人工飼育や人工孵化が失敗したため、自然繁殖をするべきという意見と
人工繁殖をするべきという意見の対立がありましたが、
その間にもトキの個体数は減っていきました。

特別天然記念物、国際保護鳥に指定されましたが、トキには一切関係ありません。
結局なすすべなく、日本産のトキを絶滅へと追いやってしまいました。

このように一定の個体数まで激減したら、もはや保護したところで
あとは絶滅まで時間の問題です。



今回の本マグロ漁禁止も絶滅危機を回避するための措置ですが、
需要が減らなければ闇取引が横行したり、不正な漁が行われたり、
あるいは遠い地域から輸入するようになれば、その地域での本マグロの数が減少します。

トキの悲しい事例を繰り返してはいけません。

少しの間我慢すればいいだけのことです。
ほかにもおいしい食べ物はあります。

誰かがすればいいという考えを、もしみんなが持っていたら、
それは結局、誰も何もしないことになります。


絶滅したらそれ以降は一切食べれません。
しかし今少し我慢すればまたいつか食べれるようになります。
考え方を変えたら、次は行動することです。

欧州の毅然とした保護政策は日本も見習う必要があります。
法的な規制と、一人一人の行動変化で、動物を絶滅から守る事ができます。






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